広告戦略とは? 立てる手順や企業の成功事例
※2024年8月30日更新
よい商品やサービスを作っても、顧客に何らかの形で知ってもらわなくては購入や契約に結びつきません。商品やサービスをアピールして必要な層に届けるには、広告戦略が重要です。
企業のマーケティング部門や広報部門の担当者のなかには、「広告戦略を立てる際の手順を知りたい」「広告戦略による成功事例を知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、広告戦略の概要や立てる際の手順、広告における5つの要素、差別化のポイント、成功事例について解説します。
目次[非表示]
- 1.広告戦略とは
- 2.広告戦略を立てる際の手順
- 2.1.①目的と予算の決定
- 2.2.②ターゲティング
- 2.3.③メディア戦略の策定
- 2.4.④クリエイティブ戦略の策定
- 2.5.⑤効果測定と改善
- 3.広告における5つの要素
- 3.1.Mission:目的
- 3.2.Message:メッセージ
- 3.3.Media:媒体
- 3.4.Money:予算
- 3.5.Measurement:評価
- 4.広告戦略で競合他社と差別化するためのポイント
- 5.広告戦略に成功した事例
- 5.1.JA静岡青壮年連盟
- 5.2.トヨタユナイテッド静岡
- 6.まとめ
広告戦略とは
広告戦略とは、商品・サービスを顧客へ届けるために広告の出稿によって認知度の向上を図る戦略を指します。
広告戦略には、大きく分けて“クリエイティブ戦略”と“メディア戦略”があり、両方の軸で検討することが重要です。
クリエイティブ戦略
クリエイティブ戦略とは、広告の内容をどのようなアイデアやデザインにするかという表現の部分に特化した戦略のことを指します。
▼クリエイティブ戦略で策定するアイデア・デザインの例
- 広告の主張・メッセージ
- ビジュアル・コピー
- 音楽・効果音
- キャラクター など
「これだけは伝えたい」と思う商品やサービス、企業の特徴を選び出し、メッセージを明確にするのがポイントです。
クリエイティブ戦略の目的は、商品やサービスの魅力を伝えるだけでなく、競合他社との差別化を表現して顧客に強く印象づけることで、広告の効果を最大化することです。
特徴を並べ立てるだけでは、顧客に興味を持ってもらえるとは限りません。見る人が興味を持ってくれるように伝えるための工夫が必要となります。
なお、テレビCMのクリエイティブ戦略については、以下の記事もあわせてご覧ください。
メディア戦略
メディア戦略とは、ターゲット層へ広告をどう届けるかという戦略のことを指します。
せっかくクオリティの高いクリエイティブを作っても、届け方が間違っていては思うようなターゲット層に伝わらない可能性があります。広告を出す媒体やチャネル、広告配信の頻度、リーチの方法などを細かく設定することで、ターゲット層との接触機会を創出しやすくなります。
例えば、若年層ならSNSやインターネット広告、スマートフォン向けアプリ広告などが有効です。一方、幅広い年代に一気に認知度を高めたい場合は、テレビや新聞、雑誌、ラジオなどのマス広告が向いています。
また、メディア戦略には大きく分けて3つの種類があります。
▼メディア戦略の種類
種類 |
特徴 |
ペイドメディア |
|
オウンドメディア |
|
アーンドメディア |
|
なお、テレビCMにおけるメディア戦略については、以下の記事もあわせてご覧ください。
※1…Instagramはインスタグラム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの商標または登録商標です。
※2…X(旧Twitter)はX Corp.(旧Twitter,Inc.)の商標または登録商標です。
広告戦略を立てる際の手順
広告戦略を立てる際は、目的と予算を決めてターゲティングを行ってから、メディア戦略・クリエイティブ戦略の策定に移ります。また、広告を出稿したあとには効果測定も欠かせません。
①目的と予算の決定
まず、広告の目的と予算を決定します。
出稿する広告媒体や広告内容を決めるためには目的の設定が欠かせません。また、メディア戦略やクリエイティブ戦略はともに予算の範囲で行えるように計画する必要があります。
②ターゲティング
次に、広告戦略におけるターゲットを決定するターゲティングをします。詳細なターゲティングを行うことで、ターゲットと接触しやすい広告媒体を選択したり、訴求しやすいクリエイティブを作成したりすることが可能になります。
また、ターゲティングを行う際は、具体的なペルソナを設定することでニーズの把握につながります。
▼ペルソナに設定する項目の例
- 年齢
- 性別
- 職業
- 居住地
- 家族構成
- 興味関心
- 抱えている悩み など
③メディア戦略の策定
そして、目的と予算、ターゲットが定まったらメディア戦略の策定に移ります。
メディア戦略を策定する際は、カスタマージャーニーマップの作成が有効です。カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品・サービスを認知してから購入・契約するまでの流れを時系列でまとめたものです。
ターゲットの具体的な行動を洗い出すことで、接触しやすい広告媒体を明らかにしやすくなります。
④クリエイティブ戦略の策定
さらに、メディア戦略のあとにはクリエイティブ戦略も策定します。
クリエイティブ戦略の策定においては、自社の商品・サービスがターゲットのニーズに合致していることを相手に示すための表現を作成する必要があります。
また、広告の形式は広告媒体によって異なるため、出稿先の媒体に合わせたクリエイティブの作成が欠かせません。
⑤効果測定と改善
最後に、広告を出稿・運用したうえで、効果測定と改善を行います。効果測定を行う際は、広告媒体に応じた指標を用います。
▼効果測定における指標の例
広告媒体 |
指標 |
テレビCM |
|
インターネット広告 |
|
効果測定の結果を基に、PDCAを回してメディア戦略やクリエイティブ戦略を見直すことで、次回に広告戦略を行う際の改善につなげられます。
なお、テレビCMの効果測定に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
広告における5つの要素
広告を作成する際には、“5M”と呼ばれる5つの要素を決める必要があるとされています。自社の広告戦略を立てる際には、各要素について理解を深めておくことが重要です。
Mission:目的
広告の目的には、主に以下の4つがあります。
▼広告の目的
目的 |
概要 |
情報 |
新商品の機能・特徴・規格・ベネフィットなど、顧客がまだ知らない商品の価値を認識してもらう |
説得 |
競合との差別化をアピールして、自社ブランドを選んでもらえるようにする |
リマインダー |
商品の認知が進んだあと、顧客に何度も喚起することで記憶にとどめてもらう |
強化 |
商品を購入したり、サービスを契約したりしたことについて、「正しかった」という顧客の思いを強化する |
広告の目的によって、伝えるメッセージや出稿する媒体が異なってくるため、あらかじめ明確にしておく必要があります。
Message:メッセージ
広告にはメッセージ性が必要です。広告のメッセージを決定する際は、以下のプロセスで進めます。
▼広告のメッセージを決定するプロセス
プロセス |
概要 |
1.メッセージの作成 |
メッセージの候補を複数作成する |
2.メッセージの評価と選択 |
メッセージの候補について、興味深さ・独自性・信頼性の観点から調査・比較して、選択する |
3.メッセージの発信 |
スタイル・トーン・言葉・フォーマット・ビジュアルなどメッセージに合った表現方法を用いて発信する |
4.社会的責任の確認 |
社会通念に合っているか、差別や誇大表現はないか、法的な規制を逸脱していないか、など社会的責任の観点をチェックする |
また、メッセージの候補を作成する方法としては以下が挙げられます。
▼メッセージの候補を作成する方法
- 顧客の声や顧客に近いスタッフの声を吸い上げてメッセージを考える
- 自社で商品やサービスの価値を定義し、市場にもたらしたい影響を基にメッセージを作成する
Media:媒体
媒体の選択は、メディア戦略の大部分を占めます。広告媒体を選ぶ際に重要な指標としては、以下の5つが挙げられます。
▼広告媒体を選ぶ際に重要な5つの指標
指標 |
概要 |
リーチ(到達範囲) |
広告を出稿している期間内に一度でもメッセージが到達する顧客の数 |
フリークエンシー |
広告を出稿している期間内にメッセージが顧客に到達した回数 |
インパクト |
メッセージの質的な価値 |
GRP |
ターゲットとなる顧客に露出される広告の全体量。リーチ×フリークエンシーで計算される |
ウェイトづけされた露出回数 |
GRPにインパクトを掛け合わせた指標。最終的にこの値が高いほど効果が高いと考えられる |
Money:予算
広告を作るためには予算が必要となります。
広告の予算を決定する際は、以下の5つの要素を考慮して、予算の割り振りを調節することがポイントです。
▼広告の予算を決定する際に考慮する5つの要素
要素 |
概要 |
製品ライフサイクルの段階 |
導入期・成長期には予算を増やし、認知が高まっている製品には相対的に予算を少なめにする |
市場シェアと顧客基盤 |
市場シェアが高いほど予算は低く、シェアが低いほど予算は高く設定する必要がある |
競争と混雑度 |
競合他社が多く、多額の広告費をかけてくる場合、自社も多くの広告費をかける必要がある |
広告の頻度 |
広告のメッセージを浸透させるため、繰り返し顧客に広告を届ける必要がある |
製品の代替性 |
競合他社との差別化が難しいほど、差別化するための広告を打つ必要がある |
Measurement:評価
最後に、広告の効果測定をして結果を評価します。
広告媒体ごとの評価指標だけでなく、広告を打つ前と後で、顧客の認知や理解、選び方にどんな影響があり、売上にどう貢献したかを確認することが重要です。
広告戦略で競合他社と差別化するためのポイント
広告戦略によって競合他社との差別化を図るには、以下のポイントが重要です。
▼広告戦略で競合他社と差別化するポイント
- 市場分析
- ターゲティング
- ポジショニング
広告戦略を行う際は、市場分析によって消費者のニーズや市場・競合他社の動向などを分析したうえで、販売市場を絞り込んでニーズに対応できる商品・サービスを選定します。
また、競合他社との相違点を基に自社のポジションを確立することも必要です。自社の強みを押し出した広告戦略を行えるようになり、価格だけでなく商品・サービスの特徴で選んでもらいやすくなります。
広告戦略に成功した事例
広告戦略に成功した事例として、JA静岡青壮年連盟とトヨタユナイテッド静岡の事例を紹介します。
JA静岡青壮年連盟
JA静岡青壮年連盟では広告戦略の一環として、“繋匠One team”をテーマとするRP動画を制作してテレビCMとして放映しました。
果物・野菜の調理や農作業時に発生する音をサンプリングして作成したPR動画によって、“農業の継承”を若手生産者のメッセージとして伝えています。このテレビCMは、静岡県CMグランプリやACC地域ファナリストなども受賞しました。
トヨタユナイテッド静岡
トヨタユナイテッド静岡では、ユナイトキラキラ探検隊と題する、回遊型の宝探しイベントを実施しました。
回遊型のイベントによって静岡県内の観光振興と周遊活性化につなげたほか、夏休みの時期に開催することで地域の子どもたちの学習や思い出づくりの機会を提供しました。
まとめ
この記事では、広告戦略について以下の内容を解説しました。
- 広告戦略の概要
- 広告戦略を立てる際の手順
- 広告における5つの要素
- 広告戦略で競合他社と差別化するためのポイント
- 広告戦略に成功した事例
広告戦略とは、商品・サービスを届けるための認知度の向上を広告によって図る戦略で、クリエイティブ戦略とメディア戦略の2軸によって成り立ちます。
広告戦略を立てる際は、目的・予算・ターゲットを決めたうえでメディア戦略・クリエイティブ戦略の順で策定します。加えて効果測定を行うことで、次回以降の改善が期待できます。
また、広告戦略で競合他社との差別化を図るには、市場分析やターゲティング、ポジショニングが欠かせません。
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