
広告戦略とは?広告を構成する5つの要素や企業の成功事例
どんなに良い商品やサービスを作っても、顧客に何らかの形で知ってもらわなくては購入や契約に結びつきません。商品やサービスを効果的にアピールし、必要な層に届けるためには、広告戦略が重要です。
本記事では、広告戦略をプランニングする際の2つの軸である「クリエイティブ戦略」と「メディア戦略」、広告を作成するための5つの要素や広告戦略の成功事例についてご紹介します。
目次[非表示]
- 1.広告戦略とは
- 2.広告の5つの要素「5M」
- 2.1.Mission:目的
- 2.2.Message:メッセージ
- 2.3.Media:媒体
- 2.4.Money:予算
- 2.5.Measurement:評価
- 3.広告戦略に成功した企業事例
- 4.まとめ
広告戦略とは

広告の戦略をプランニングする際は、大きく「クリエイティブ戦略」「メディア戦略」の2軸から検討します。
クリエイティブ戦略
クリエイティブ戦略とは、広告の内容をどんなアイデアやデザインにするかという表現の部分に特化した戦略のことを指します。
そのため、広告の主張やメッセージ、ビジュアルやコピー、音楽や効果音、キャラクターなどが含まれます。これだけは伝えたい、と思う商品やサービス、企業の特徴を選び出し、メッセージを明確にするのがポイントです。
クリエイティブ戦略では、商品やサービスの魅力を伝えるだけでなく、競合との差別化を表現し、顧客に強く印象づけることで、広告の効果を最大化することが目的です。ただ特徴を並べ立てるだけでは、顧客に興味を持ってもらえるとは限りません。そこで、見る人が興味を持ってくれるような伝えるための工夫が必要なのです。
テレビCMのクリエイティブ戦略については、ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。
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メディア戦略
メディア戦略とは、ターゲット層へ広告をどう届けるかという戦略のことを指します。
せっかくクオリティの高いクリエイティブを作っても、届け方が間違っていては思うようなターゲット層に伝わらないことも少なくありません。広告を出す媒体、チャネル、広告配信の頻度、ターゲット層への到達方法などを細かくかつ適切に設定することで、ターゲット層と広告の接触頻度を最大化するのが目的です。
例えば、若年層ならSNSやインターネット広告、スマートフォン向けアプリ広告などが効果的でしょう。一方、幅広い年代に一気に認知度を高めたいなら、新聞やテレビ、雑誌、ラジオなどのマス広告が効果的と考えられます。
また、メディア戦略には大きく分けて3つの種類があります。
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ペイドメディア
費用を払って広告を掲載するメディアのこと。テレビや新聞、インターネット広告など。ターゲット層が多い場所へ露出しやすいため、短期間に知名度を高められる。
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オウンドメディア
企業が自ら運営する自社のホームページ、採用ページ、ブログなどのこと。自由に発信できるが、成果がすぐに出るわけではなく、中長期的な視点で運営することが重要。
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アーンドメディア
口コミやSNS投稿、ブログ記事など。アーンドとは「Earned=獲得する」という意味で、共感や信頼を得ることを指す。インフルエンサーなどに広められることで認知度や人気の向上が期待できるが、意図と異なる発信をされることも考えられる。
テレビCMにおけるメディア戦略については、以下の記事もあわせてご覧ください。
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広告の5つの要素「5M」

広告を作成する際に、「5M」と呼ばれる5つの要素を決める必要があるとされています。
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Mission:目的
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Message:メッセージ
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Media:媒体
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Money:予算
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Measurement:評価
それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。
Mission:目的
広告の目的には、以下の4つがあります。
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情報提供
顧客がまだ知らない商品の価値を認識してもらう。新商品の機能や特徴、規格、ベネフィットなどを伝える場合によく使われる。
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説得
競合との差別化をアピールし、自社ブランドを選んでもらえるようにする。
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リマインダー
商品の認知が進んだ後、顧客に何度も喚起することで記憶にとどめてもらう。
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強化
顧客がその製品を購入したこと、サービスを契約したことが正しかったという思いを強化する。
Message:メッセージ
クリエイティブ戦略の項でもお話したように、広告にはメッセージ性が必要です。広告のメッセージを決定するためには、以下の4つのプロセスがあります。
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メッセージ作成
顧客の声や顧客に近いスタッフの声を吸い上げてメッセージを考える方法と、自社で商品やサービスの価値を定義し、市場にどんな影響をもたらしたいか先に決めてしまう2つの方法がある。
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メッセージの評価と選択
メッセージ作成で上がった候補を、興味深さ・独自性・信頼性の観点からアンケートなどで調査・比較し、選択する。
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メッセージの発信
スタイル、トーン、言葉、フォーマット、ビジュアルなど適切な表現方法を使って発信する。
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社会的責任の確認
社会通念に合っているか、差別や誇大表現はないか、法的な規制を逸脱していないか、など社会的責任の観点をチェックする。
Media:媒体
メディア戦略の大半にあたるのがこれで、広告媒体を選ぶためには5つの要素が考えられます。
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リーチ
到達範囲。広告を出稿している期間内に1度でもメッセージが到達する顧客の数。
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フリークエンシー
露出頻度。広告を出稿している期間内にメッセージが顧客に到達した回数。
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インパクト
メッセージの質的な価値。
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GRP
リーチ×フリークエンシーで計算され、ターゲットとなる顧客に露出される広告の全体量を表す。
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ウェイトづけされた露出回数
GRPにインパクトを掛け合わせた指標で、最終的にこの値が高いほど効果が高いと考えられる。
Money:予算
広告を作るためには、必ず予算が必要です。予算を決定するためには、以下の5つの要素を考慮する必要があります。
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製品ライフサイクルの段階
導入期、成長期などは市場認知度やシェア獲得のため、多くの費用が必要。一方、既に認知が高まっている製品は相対的に予算の割り当てを少なめにする。
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市場シェアと顧客基盤
市場シェアが高いほど予算は低く、シェアが低いほど予算は高く設定する必要がある。
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競争と混雑度
競合の数が多く、競合が多額の広告費をかけてくる場合、自社もやはり多くの広告費をかける必要がある。
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広告の頻度
広告のメッセージを浸透させるため、繰り返し顧客に広告を届ける必要がある。
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製品の代替性
競合他社との差別化が難しいほど、差別化するための広告を打つ必要がある。
Measurement:評価
最後に、広告の効果測定をして結果を評価します。広告を打つ前と後で、顧客の認知や理解、選び方にどんな影響があり、売上にどう貢献したかがポイントです。
以上の5Mが、広告を作成する上で決めておくべき要素となります。一度自社の戦略と照らし合わせてみると、より理解が深まるでしょう。
広告戦略に成功した企業事例
最後に、広告戦略に成功した企業事例を3つご紹介します。
無印良品
無印良品は、自社の理念をユーザーに伝えることを第一の目的としています。ターゲットを絞り込みすぎず、Webサイト、アプリ、SNS、YouTubeなどさまざまなメディアを活用するメディア戦略をとっています。
さらに、クリエイティブ戦略として商品誕生までのストーリーを発信し、顧客の共感や賛同を得ることで、競合との差別化をはかっているのも特徴です。
トヨタ自動車
トヨタ自動車は老舗ながら、Web戦略でも非常に強い企業です。例えば、ブランディング戦略として「トヨタイムズ」も運用し、自社の想いをユーザーに伝えています。これはクリエイティブ戦略とメディア戦略をうまく融合させた例で、オウンドメディアを利用してクリエイティブを発信しています。
佐賀市
佐賀市はインバウンド旅行客の拡大を目的とした広告を打ち出し、成功をおさめました。このとき使ったのがYouTubeの動画広告で、ターゲット層がはっきりしていたことから、メディア戦略としてペイドメディアを使ったと言えます。
また、クリエイティブ戦略では佐賀市の強みである「のどかさ」「豊かな自然」などを海外の視聴者に好まれやすい切り口で撮影、佐賀市のイメージアップに成功しました。
まとめ
広告戦略にはクリエイティブ戦略とメディア戦略の2つの軸があり、他にも広告を作成するための要素として5Mと呼ばれる「目的」「メッセージ」「媒体」「予算」「評価」の5つがあります。
今回ご紹介した企業の成功事例も参考に、広告戦略を成功させましょう!