広告とPRの違いを解説!それぞれのメリットや注意点、適した場面も紹介
企業や組織が情報を発信したり、他の企業や顧客などのステークホルダーと何らかの関係性を築いたりするためには、広告やPRが使われます。掛け合わせた施策を行う場合もあるため、広告とPRはよく混同して使われますが、言葉の定義を紐解くとその意味ははっきりと異なるものです。
本記事では、広告とPRの違いを中心に、それぞれの種類やメリット・注意点について解説します。
目次[非表示]
- 1.広告とは?
- 2.広告の種類
- 2.1.マス広告
- 2.2.Web広告
- 2.3.SP(セールスプロモーション)広告
- 3.PRとは?
- 4.PRの種類と概要
- 4.1.企業PR
- 4.2.商品PR
- 4.3.地方自治体など、公共団体のPR
- 5.広告とPRの違い
- 5.1.違い①:目的
- 5.2.違い②:費用
- 5.3.違い③:効果が続く期間
- 5.4.違い④:情報のコントロール性
- 5.5.補足:広報との違い
- 6.広告とPRの各メリット・注意点・活用法
- 6.1.広告のメリット・注意点・活用法
- 6.2.PRのメリット・注意点・活用法
- 7.まとめ
広告とは?
広告とは世間に情報を広く知らせることで、アメリカマーケティング協会(AMA)の定義によれば、「広告とは、企業、非営利団体、政府系機関、または個人による、製品・サービス・アイディアを特定のターゲットに伝達するための告知やメッセージである」とされています。
ただし、これは非常に広義な意味で「広告」を捉えたもので、狭義には「人を介さずに製品やサービス、アイデアを紹介したり勧めたりするもの」という考え方が広く浸透しており、ほとんどが有料で掲載されています。
広告の種類
広告には、大きく分けてマス広告、Web広告、SP広告の3種類があります。それぞれを見ていきましょう。
マス広告
広告の中でも、テレビ・新聞・ラジオ・雑誌の4大マスメディアを使った広告を「マス広告」と言います。
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テレビ広告
音声も映像もある動画で伝えるため、インパクトが強く印象に残りやすい。認知度を一気に上げたいときや企業ブランディングに効果的。
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新聞広告
新聞の誌面の一部、または一面に掲載する広告。読者層は中高年や高所得者に偏るが、内容をスキップせずきちんと目を通してもらいやすい。
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ラジオ広告
音声のみで伝える広告で、近年ラジオユーザーが増えていることから需要も再加熱している。家事の合間や移動しながらなどいつでもどこでも聞けるため、刷り込み効果が高い。
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雑誌広告
掲載される雑誌によって読者層が大きく異なるため、ターゲティングが行いやすい。
Web広告
インターネットの発展とともに広まったWeb広告には、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、アフィリエイト広告、メール広告、動画広告、ネイティブ広告、アプリ広告などがあります。
中でも、よく使われるリスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、アフィリエイト広告、記事広告の5つについて見ていきましょう。
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リスティング広告
GoogleやYahoo!などで検索されたワードに連動して表示される広告のことで、クリックされて費用が発生する。検索連動型広告、クリック報酬型広告などとも呼ばれる。ユーザーが能動的に調べてクリックをするため、確度の高いユーザーが多い傾向にある。
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ディスプレイ広告
バナー広告とも呼ばれ、枠内で画像やアニメーションを表示して流入を狙う。リスティング広告やSNS広告と比較してクリック単価が安価な傾向にある。
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SNS広告
Twitter、Facebook、InstagramなどのさまざまなSNSで配信される広告で、拡散されやすいことやターゲティングがしやすいことなどが特徴。
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アフィリエイト広告(成果報酬型広告)
アフィリエイターのブログやSNSを通じて、商品の広告を設置、紹介してもらう手法。成果が発生した時に費用が発生するため、無駄な広告費を抑えられる。
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記事広告
「タイアップ広告」「PR広告」とも呼ばれる。通常の記事と並べることで、広告感を出さないことが特徴。記事の見出しなどのわかるところに「広告」「sponsored」と記載がある。
SP(セールスプロモーション)広告
SP広告には、交通広告、OOH・屋外広告、デジタルサイネージ広告、DM広告、折込チラシ広告、イベントプロモーションなどがあります。
ここでは、よく使われる交通広告、屋外広告、デジタルサイネージ広告について解説します。
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交通広告
バスや電車、タクシー、モノレールなどの交通機関に出稿する広告のこと。通勤・通学時など交通機関の利用時に見てもらいやすい。
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OOH・屋外広告
看板や壁面ポスターなど、屋外に設置される広告。不特定多数にリーチしやすい。
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デジタルサイネージ広告
静止画だけでなく、動画や音声つきでの配信ができ、伝えられる情報が多い。
PRとは?
PRとは「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の略です。
日本パブリックリレーションズ協会の定義によれば、「組織とその組織を取り巻く人間(個人・集団)との望ましい関係を創り出すための考え方および行動のあり方である」とされています。
つまり、関係性を築くためのコミュニケーションがメインとなる考え方や行動であって、詳しい違いについては後述しますが、広告とは本来別のものを指します。
PRの種類と概要
それでは、PRは具体的にどのようなものなのでしょうか。
主に使われる「企業PR」「商品PR」「公共団体PR」の3つの観点から見ていきましょう。
企業PR
企業PRとは、企業とステークホルダーの間に信頼関係を構築することが目的のPRです。企業理念や事業の価値を伝えることが目的で、現代の消費者が「モノ消費」から「コト消費」や「イミ消費」に代わり、「好きなブランド、賛同できる企業の製品を買う」ようになったことで重要視されるようになりました。
企業PRには、例えば以下のようなことが挙げられます。
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企業理念、ビジョンなどをプレスリリースで発信する
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オウンドメディアやSNSなどを通じ、企業理念や価値を共有する
商品PR
商品PRでは、企業理念に賛同して商品を購入してくれる「ファン」を増やすのが目的と言えます。そのため、商品やサービスのPRは、企業PRとも一貫したものでなくてはなりません。
商品PRには、以下のようなPR方法があります。
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自社サイトやオウンドメディアを通じ、商品の魅力を紹介する
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ブログを使い、どんなターゲットのどんな課題を解決できるか具体的に伝える
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SNSやプレスリリースで発信する
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インフルエンサーを通じ、画像や動画で商品の魅力を伝えてもらう
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商品やサービスと、ユーザーや社会の接点を増やすためのセミナーやイベントを開催する
地方自治体など、公共団体のPR
これまで、公共団体は「広報」、企業は「PR」と使い分けていましたが、現代では地域定住促進やインバウンドなど、地方行政が主催するPRも増えてきています。地方公共団体などがPR動画を作成し、それが話題になるというケースも多いです。
公共団体のPRは、他にも以下のようなPRがあります。
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PR動画とSNSを組み合わせ、全国や世界へ向けて情報を発信する
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広報誌を一方的な情報発信の場にするのではなく、地域の情報プラットフォームとして扱う
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首都圏に地方のアンテナショップを設置する
広告とPRの違い
広告とPRには、具体的に以下のような違いがあります。
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目的
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費用
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効果が続く期間
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情報のコントロール性
違い①:目的
まず、広告とPRは目的が大きく異なります。
広告は商品やサービスを広く知ってもらい、勧めるためのものですが、PRは企業や地方公共団体がステークホルダーや市民と良い関係性を築くために行うものです。
違い②:費用
先にも述べていますが、広告の場合は有料で掲載されるほとんどです。PRは原則として第三者のメディアが取り上げてくれるため、情報を広めるための費用は発生しません。
違い③:効果が続く期間
さらに、効果の持続時間や即効性にも違いがあります。広告には即効性があり、確実に効果を得たい場合に使います。その点PRは、関係性を築くための手段として捉えられるため、長期的な視点が必要です。
そのためPRはすぐに効果が出ないことも考えられますが、一度効果が出れば長く続くのがPRの特徴と言えます。
違い④:情報のコントロール性
最後に、情報のコントロール性です。広告では企業などが自らターゲティングを行い発信することで、届けたい層を狙って情報を届けられますが、PRでは第三者が情報を取り上げることから、ターゲティングが思うようにいかない、思ったほど情報が拡散されないなどの可能性も考えられます。
補足:広報との違い
「Public Relations(パブリック・リレーションズ)」の概念が海外から日本に輸入されたとき、行政では「広報」、民間では「PR」と呼ばれていました。つまり、もともとは同じ概念を指す言葉です。ただし、現在では広報の方がより狭義の意味を指すことが多くなっています。
前述でPRはステークホルダーとの良い関係性を築くための考え方や行動全般だと話しましたが、広報はそのうち企業や組織からの一方的な情報発信によってステークホルダーとの良好な関係性を構築しようとするものを指します。
広告とPRの各メリット・注意点・活用法
ここでは、広告とPRのメリットと注意点をそれぞれ解説します。
広告のメリット・注意点・活用法
広告のメリットは、情報のコントロール性と効果の即効性、認知度やブランディングなどのイメージアップに使えることにあります。一方で、費用がかかること、運用のノウハウが必要なこと、抵抗感を持つユーザーもいることなどが注意点として挙げられるでしょう。
これらの点から、下記の場合には広告が適しています。
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情報の内容を絞りたい
- ターゲティングをしたい
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即時的な効果を得たい など
PRのメリット・注意点・活用法
PRのメリットは、情報拡散のための費用がかからない点と、効果の持続性、情報の信頼性の高さにあります。一方で、情報コントロール性が低いため確実に発信できない、ターゲティングができないこと、効果が即効性ではないためすぐやめてしまうと効果が得られないことが注意点として挙げられます。
これらの点から、下記の場合にはPRが適しています。
ステークホルダーと長期的に良好な関係を築きたい
中長期的な視点でブランドイメージを構築したい など
まとめ
広告は料金を支払い、人を介さずに商品やサービス、アイデアなどを紹介したり勧めたりするもので、PRは組織とステークホルダーの間の良好な関係性を築くための考え方や行動全般のことを指します。
広告とPRは目的、費用、効果の持続時間、情報のコントロール性の面で違いがあるため、広告は情報の内容を絞ってターゲティングを行い、即時的な効果を得たい場合に適しています。
一方で、PRはステークホルダーと長期的に有効な関係を築いたり、ブランドイメージを構築したりしたい場合に適しています。広告とPRの違いを理解し、効果的に使い分けましょう。