テレビCMの絵コンテとは?どうやって作っていくの?
テレビCMを作成するとき、いきなり撮影を始めたりアニメーションを作り始めたりするわけではありません。まずは作りたいテレビCMのイメージを固め、そのイメージを制作に関わる人全員で共有するために「絵コンテ」を作成する必要があります。
絵コンテという言葉を聞いたことがあっても、実際にどんなものなのか、どうやって作るのか知らない人は多いのではないでしょうか。本記事では、絵コンテの概要や作る目的、作り方について詳しく紹介します。
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目次[非表示]
- 1.テレビCMの絵コンテとは
- 1.1.絵コンテには何が書いてある?
- 2.テレビCMの絵コンテを作るのはいつ?
- 3.テレビCMの絵コンテを作る目的
- 3.1.イメージの共有
- 3.2.テレビCMの世界観をわかりやすくする
- 4.絵コンテの作り方
- 4.1.手順①:セリフやナレーションを書く
- 4.2.手順②:カット割りを決める
- 4.3.手順③:絵を書き込んでいく
- 5.絵コンテのテンプレート
- 6.まとめ
テレビCMの絵コンテとは
テレビCMにおける絵コンテとは、動画の設計書のことです。
そもそもコンテ自体が、動画や映画、テレビドラマなど映像コンテンツの設計図や指示書のことを指しており、絵コンテとは文字通り、絵のついた設計図、指示書のことを言います。
動画のカット割やカメラワーク、セリフやナレーション、効果音などが細かく記されていることから、構成台本などと呼ばれることもあります。
絵コンテには何が書いてある?
絵コンテに使われる用紙は制作会社によって細かい部分が異なるものの、たいてい以下の内容が記載されています。
- 画面(絵)
- 画面で表現すべき内容
- セリフ、ナレーション
- 効果音や音楽
-
時間
カットごとにどんな画面になるのかを絵で表現し、その内容を言葉でも説明します。さらに、シーンによってセリフやナレーションが必要ならそれを書いたり、効果音や音楽の指示を書いたりすることもあります。時間は、そのシーンが何秒から始まり何秒まで続くのか書かれます。シーンは連続しているため、「〜○秒」など、何秒までがそのシーンなのか、しか書かれていないこともあります。
テレビCMの絵コンテを作るのはいつ?
テレビCMの絵コンテを作るタイミングは、キックオフMTGが終わり企画に至った段階です。企画まで終わってから絵コンテを作ることもあります。
一般的に、テレビCMで何を伝えたいかの目的、ターゲット層、商品やサービスのイメージが固まり、予算が決まったら絵コンテを作成できます。
絵コンテは通常、一案だけ作るのではなく、複数の案を作成してその中から最も良いものを選びます。制作会社に依頼する場合は、絵コンテを複数作成してもらえるので、その中からイメージに最も近いものを選びましょう。
絵コンテを作ったら、その時点でいったんテレビCMの考査に出すことも可能です。テレビCMを放映するためには考査があり、テレビCMの内容で誤解を与える表現などがないか審査されます。
考査の詳しい記事はこちら> テレビCMの考査とは?広告を出すために定められている基準を解説
テレビCMを最後まで作成してから考査に通らない、という自体を防ぐため、絵コンテや仮編集の段階で考査に出しておき、後から修正作業で二度手間にならないようにする、という方法があります。ただし、考査はテレビ局ごとに行われるため、絵コンテの段階で考査に出すためには、絵コンテの時点で放映したいテレビ局も決まっていなくてはなりません。
テレビCM制作の流れについて詳しくは「テレビCM制作の流れとは?企画から放送に至るまでを詳しく解説」も合わせてご一読ください。
テレビCMの絵コンテを作る目的
テレビCMの絵コンテを作る目的は、大きく分けて2つです。
イメージの共有
絵コンテは、制作スタッフやキャスト、広告主との間でテレビCMの出来上がりイメージをある程度わかりやすい形で共有するために作ります。制作会社に依頼する場合は、特に制作会社側がしっかり広告主の伝えたいイメージを理解してくれているかどうかチェックするためにも、絵コンテが重要です。
実写は現場の進捗やその時の状況で変わる場合もあるため、大まかにラフスケッチを描き、アニメなどはイラストのまま仕上げるため、細かく描くのが一般的です。絵コンテに起こすことで、誰が見てもイメージがわかりやすくなります。
テレビCMの世界観をわかりやすくする
テキストだけではテレビCMの世界観が伝わりにくいため、イメージをより伝わりやすく、固めやすくするために作るという意味もあります。また、絵コンテがあるとテレビCMの中でどこが盛り上がりなのか、メッセージはどこで伝えるのかなど、重要な部分や全体のリズム感、テンポ感を把握しやすくなります。テレビCMの世界観を理解し、重要なポイントやリズムを把握するために絵コンテが重要なのです。
絵コンテの作り方
絵コンテは、大まかに分けて以下の3ステップで作られます。
手順①:セリフやナレーションを書く
絵コンテとは言うものの、テレビCM全体の長さを決めるのは主にセリフやナレーションです。そこで、まずは全体のセリフやナレーションを書いてテレビCMの時間内におさまるかどうかチェックしましょう。これをシナリオ原稿と呼ぶこともあります。
制作会社に依頼する場合、一般的にセリフやナレーションは広告主側で大枠を考えておき、制作会社に微調整してもらうことが多いでしょう。
セリフやナレーションを考える際は、テレビCMの15秒や30秒の間に入っていなくてはなりません。書き終わったら音読しながらストップウォッチなどで秒数を測り、極端に長すぎたり短すぎたりしないようにするとよいでしょう。ナレーションやセリフの長さは、15秒のテレビCMで60字前後が目安です。調整時点で大幅に削ることにならないよう、ポイントを絞ってコンパクトにまとめます。
ナレーションについて詳しくは、以下の記事で詳しく解説しています。
テレビCMのナレーション原稿を作る際のポイントは?【サンプル原稿付き】
手順②:カット割りを決める
カット割り(コマ割り)とは、シーンの内容のことです。1カットの長さはだいたい3秒くらいが目安で、長くても1カット5〜6秒くらいです。
同じカットでそれ以上の長さになると、視聴者は映像が止まっているように感じてしまうため、てきぱきとカットを切り替えていく必要があります。例えば、15秒のテレビCMではカット数が5〜8カット程度になります。
手順③:絵を書き込んでいく
最後に、セリフやナレーション、カット割りに沿って絵を書き込んでいきます。絵コンテを作る目的は他の制作スタッフやキャストとテレビCMの全体的なイメージや世界観を共有するためなので、絵の上手さはそれほど重要ではありません。それよりも、「どこに何があるか」「誰が(何が)どんな動きをするか」などが重要です。文字が入る場合は、それも絵の中に描いておけるとよいでしょう。
絵コンテで絵を描くときは、細かい表現の部分までこだわりすぎないことが重要です。
例えば、実写の場合は光の具合や天候などで映像の細かい部分が変わってしまうことがあります。現場でアドリブの提案が入ったり、背景に想定と異なる物や人物が映り込んだりすることもあるでしょう。アニメの場合は実際に絵を描くのはアニメーター、イラストレーターなため、タッチやキャラのテイストが変わってきます。このような理由から、細かい部分まで書き込みすぎないのが絵コンテのコツです。
絵コンテのテンプレート
絵コンテは、さまざまなサイトからテンプレートをダウンロードできます。下記のサイトは一例であり、使いやすいテンプレートを探しましょう。
●StoryBoard Sheets :絵コンテ用紙 16:9/4:3(ダウンロード自由):絵コンテの書き方10のポイント
画面のアスペクト比が4:3の絵コンテ用紙のほか、16:9の絵コンテ用紙もダウンロードできるサイトです。絵コンテを描く際のポイントも解説されています。
●動画制作の設計図! 絵コンテ ・ストーリーボードの描き方・読み方を知って映像演出をしよう! 無料で絵コンテ用紙テンプレートをダウンロード絶賛配布中
絵コンテのテンプレートはもちろん、描き方や用語について詳細な解説が読めるサイトです。アスペクト比が4:3、16:9のもののほか、正方形や縦動画用の絵コンテ用紙もあり、テレビCMはもちろん動画作成にも使えます。
●【無料配布】動画制作にも役立つ!絵コンテのテンプレートを作ったよ!
カット、画面、内容、秒数と非常にシンプルな構成のテンプレートを配布しているサイトです。初めて絵コンテを作るという人でも扱いやすいでしょう。
まとめ
絵コンテとはテレビCMの設計書のことで、画面やセリフ・ナレーション、効果音や音楽などが書いてあります。絵コンテを作るのは、制作に携わるスタッフやキャスト、広告主や制作会社の間でテレビCMのイメージや世界観を共有するためです。
テレビCM制作を制作会社に依頼した場合でも、セリフやナレーションは広告主がある程度記載することも多いため、今回ご紹介したように書き方をある程度理解しておくと良いでしょう。