テレビCM制作の流れとは?企画から放送に至るまでを詳しく解説
企業が商品やサービスを消費者に知ってもらおうとするとき、幅広いターゲット層に働きかけられるテレビCMは効果的な広告手法の一つです。
では、実際にテレビCMを作るときにはどんな流れで企画・制作し、放映されるのでしょうか。企画から放送に至るまで、その流れを項目ごとに詳しく説明します。
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【全工程一覧】テレビCM制作の流れ
テレビCMの制作フローは、以下のようになっています。
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制作期間は1~10までで2ヶ月程度かかります。動画か静止画か、アニメーション動画か動画撮影が必要かなどによっても大きく変わってくるでしょう。
実写で動画撮影が必要な場合、撮影場所や撮影現場をおさえる必要もあるため、あくまでも製作期間は目安として、制作スケジュールを立てるときには十分な余裕を持って検討するようにしましょう。
次章からは、各フローを深ぼって見ていきましょう。
制作の流れ①:ブリーフィング(キックオフMTG・オリエンテーション)
ブリーフィング(キックオフMTG・オリエンテーション)では、広告主(スポンサー企業)・広告代理店の間で打ち合わせを行います。CM制作を外部業者への依頼が決まっている場合はCM動画制作会社も参加します。
ここでは、広告主に対してCMのイメージや訴求したいターゲット層などをヒアリングするほか、企業や商品に関する説明も行います。広告代理店側からは制作費やスケジュール感、CMのコンセプトや意図を説明してもらうなどして、広告主と広告代理店、制作会社の3社間でイメージのズレがないようにしましょう。例えば、以下のようなことを話し合い、具体的なCMイメージを作っていきます。
- CMで、ユーザーに何を伝えたいか(目的)
- CMで、何をアピールしたいのか(商品やサービス、自社など)
- ターゲット層の年齢、属性など
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広告主による、企業や商品、サービスの価格や詳細の説明
制作の流れ②:企画
ここでは、ブリーフィングで話した内容を企画に落とし込んでいきます。CMを制作するときも、商品やサービスを作るときと同じように、まずは企画が重要です。
この時点で、ある程度CMイメージを固めておくのがおすすめです。広告主側からイメージのモデルとなるCMや好きなCM、もしくはCMの中で最も主張したいポイントなどが決まっていれば話がスムーズに進むでしょう。
広告主によっては、コンペ形式で複数のCM制作会社に企画のプレゼンテーションを行ってもらい、CM制作会社の方はイメージに合わせていくつかの企画を提出する、というパターンもあります。広告主はその中からベストなものを選んで発注する、という形式です。
制作の流れ③:絵コンテ
絵コンテとは、ドラマやアニメなどでも使われるように、映像の内容や流れを絵と説明文で書いた表で、CMの設計図にあたります。コンペ形式でなくても絵コンテでは複数の案を作り、その中から広告主に選んでもらいます。
場合によっては主軸となる案を一つ選び、他の案から良い要素を組み合わせて最終稿とする、というように、この段階ではまだまだ融通がききます。
逆に言えば、広告主はこの段階までにしっかりイメージやリクエストを伝えておくことが、納得いくCM制作のために最も重要です。
絵コンテの詳細は下記記事を参考にしてください。
制作の流れ④:撮影準備・キャスティング
実写でCM制作をすることになった場合、撮影準備やキャスティングが必要です。撮影準備とは、機材だけでなくカメラマンやスタジオ、ロケーション場所などをおさえることも含まれます。キャスティングには、タレントなどの選定からスケジュール調整なども含まれます。
例えば、カメラマンによって得意な映像が異なるため、「誰でもいいからカメラマンさえいればいい」というものではありません。ビジュアル面で美しい映像にしたいのか、臨場感溢れるシズル感が欲しいのか、ドキュメンタリー映像のようにしたいのか、作りたい動画広告によって起用すべきカメラマンも異なるのです。
タレントなどのキャスティングにも同じことが言えます。爽やかさを感じさせたいのか、親しみやすさを表現したいのか、迫力ある画面を作りたいのかなど、作りたい動画によって起用すべきタレントは異なります。
スタジオやロケーションについても、CM動画の目指すところによって合った手法があります。例えば、シャンプーなどのCMで自然や天然素材をイメージさせたいなら、スタジオよりもロケーションを選ぶのが最適です。こういった部分は、代理店が適したイメージに合わせて提案してくれるでしょう。
制作の流れ⑤:撮影
絵コンテ・撮影準備が完成したら、次は撮影の段取りです。CMの尺は種類によってもさまざまですが、一般的に15秒から30秒程度なので、撮影は1日で終了するケースが多いでしょう。
撮影する場所は、作成するCMに合わせてスタジオ、屋外、ロケなど様々な撮影方法があります。
スタジオ撮影
大掛かりなセットを組む場合は基本的に映画の撮影所を使いますが、商品周り程度の小規模な撮影ができれば良いという場合は、スチール(静止画)撮影用など比較的小さなスタジオでも行えます。
セットを組む場合は「大道具」とも呼ばれ、映画の美術製作者などに依頼することになるでしょう。セットのデザインは、映画の美術監督やCMのデザイナーが担当します。
ロケーション撮影
ロケーション撮影は撮りたいイメージに沿った場所で撮影ができることがメリットです。国内のロケーションと海外のロケーションでは、スタッフ構成も機材の手配も全く異なりますので、予算や人員、CM構成などに合わせて選びましょう。いずれの場合も屋外で撮影することになりますので、天候に大きく左右されてしまうのが難点です。
近年では、海外ロケーションで現地の制作プロダクションやスタッフを依頼することもあります。
ロケセット撮影
テレビや映画撮影で使った既存の建物や部屋を、そのまま撮影に使う手法です。低価格から利用できる場所もあるため、経費削減にもつながるケースも。どうしてもこの場所を使いたい、という場合にもロケセットを借りることもあります。いずれにしても借り物を使って撮影するので、壊さないよう注意しなくてはなりません。
制作の流れ⑥:編集(ポストプロダクション)
映像編集には、仮編集と本編集があります。前章で撮影した映像を、放映できるCMの形に仕上げていく作業です。まずは、仮編集から見ていきましょう。
仮編集
撮影しただけの段階では、まだその映像は「素材」のままです。これを編集作業で魅力あるCMに仕上げなくてはなりません。まずは、仮の編集として絵コンテ(演出コンテ)をもとに撮影素材を並べたり、カットの順番を入れ替えたりして、より良いCMになるよう工夫を重ねていきます。
仮編集が終わったら、広告主とともに試写を行います。ナレーション、商品詳細のテロップ、音響効果などがつき、一気にCMらしくなるでしょう。ここで広告主からの指示や変更点が入れば、必要に応じて変更・修正を行います。
本編集
仮編集が終わり、広告主に確認してもらう工程も済むと、いよいよ実際に動画編集を行ってCMを完成させます。ここでCMが完成しますので、本編集以降の修正はできません。どうしても修正がある場合は、追加の時間や予算が必要となります。
本編集が終わってから「やっぱりこうしたかった」とならないよう、絵コンテや仮編集の段階でイメージや要望をしっかり伝えておきましょう。
制作の流れ⑦:納品
本編集まで終わり、完成したCM映像は広告主とテレビ局に納品されます。
制作の流れ⑧:放送枠の決定・考査
最後に、広告代理店と広告主の間で、予算に合わせてどのテレビ局のどの時間帯でCMを放送するかを決定します。放送枠の決定は本編集から納品までの間に行われることもありますが、主に以下のようなポイントについて決定します。
- どの地域で放映するか
- どの時間帯や番組で(どのターゲット層に向けて)放映するか
- どれくらいの期間放映するか
これらはすべて、商品やサービスをどんな人に知ってもらいたいか、すなわちどのターゲット層にCMをリーチさせたいか、ということから逆算して決めていくのがよいでしょう。初めてテレビCMを放映する場合は、放映期間や尺に融通がききやすいスポットCMがおすすめです。
また、並行してテレビCMの考査が行われます。テレビCMは、この考査が完了しないと放送することができません。詳しくは下記記事をご確認ください。
制作の流れ⑨:放送
枠の決定・考査が終わり、CM制作の一連の流れが完了したら、実際にテレビCMが放送されます。
制作の流れ⑩:効果測定
テレビCMの放送後は、CM広告によってどのような効果が得られたのか効果測定を行います。現在広く用いられている効果測定方法は「GRP(延べ視聴率)」で、GRPが高いほど、CMがより視聴率の高いテレビ番組とともに放送された、と考えられます。
ただし、GRPは実際にテレビ画面を見ているかどうかが不確かで、CM放送中だけ画面を見ていない可能性もあります。それを補う方法として、GAPという手法が開発中です。詳しくは、ぜひ以下の記事をご一読ください。
まとめ
テレビCMは、企画や絵コンテなど最初の打ち合わせ・企画が重要です。屋外の場合は天候に合わせたり、屋内の場合はスタジオセットなどを使ったりして撮影を行い、仕上げの編集を行って納品、放送枠の決定となります。テレビCMの制作・放送でご不明点がある場合は、50年の歴史がある弊社にお気軽にご相談ください。