
テレビCMの効果測定はどうやって行えばいい?GRP・GAPとは
インターネットを使ったデジタル広告と比べ、テレビCMの効果は測定しづらいとされています。
例えばインターネットの場合は閲覧され、実際にその広告をクリックされたことを認識できますが、テレビでは実際に見られたかどうかがわかりません。
そこで、テレビCMの効果測定方法として広く用いられている「GRP」と、近年開発された「GAP」という手法についてご紹介します。
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目次[非表示]
- 1.テレビCMの効果はどう測定する?
- 2.広く用いられている手法「GRP(延べ視聴率)」とは
- 2.1.GRPとはどんな手法?
- 2.1.1.計算方法
- 2.2.平均視聴率(世帯視聴率)はどうやって計算される?
- 2.2.1.PMシステム
- 2.2.2.オンラインメータシステム
- 3.GAP(グロス・アテンション・ポイント)とは
- 4.GRPとWEB上の行動データによる効果検証
- 5.まとめ
テレビCMの効果はどう測定する?

テレビCMは上記のようなネット広告とは違い、広告経由での利益が見えづらい傾向にあります。
例えば、インターネットで出稿する「デジタル広告(ネット広告)」では、バナーなどに解析ツールを組み込んでいます。そのため、「何回閲覧されたか」「何回クリックされたか」「広告経由でのコンバージョン(最終的な成果)は」といった明確なデータが得られます。
閲覧回数に対するコンバージョン率、コンバージョンを1つ獲得するのに費やしたコストなどを明らかにしやすいです。
一方のテレビCMでは、録画やCMを飛ばす人もいるため、一概に視聴率=閲覧率とも言いきれません。さらに、デジタル広告ならある程度ユーザーごとの属性情報が得られるが、テレビCMの場合はどんな人が視聴しているかわからないというデメリットもあります。
そこで、テレビCMの効果測定方法として用いられるのが、テレビCMを出稿した量と視聴率をもとにした「GRP(延べ視聴率)」です。次章で詳しく見ていきましょう。
広く用いられている手法「GRP(延べ視聴率)」とは

テレビCMの効果測定方法として、現在広く用いられているのが「GRP(延べ視聴率)」です。GRPとはどのような手法なのでしょうか。
GRPとはどんな手法?
GRPとは「延べ視聴率」の意味で、平均視聴率(世帯視聴率)を使ってテレビCMの効果を測定する手法です。
これはCMの露出率を見るもので、GRPが高いほど「より多くのCMが、より視聴率の高いテレビ番組で放送された」という意味になり、以下のように計算されます。
計算方法
GRP=平均視聴率×放送回数です。以下のように計算出来ます。
(例)平均視聴率が15%のテレビ番組放映中に、2回テレビCMを放映した場合:
⇒15×2=30GRP
このように、テレビCMが放映された時間帯の延べ視聴率をテレビCMが放送されるごとに計測します。一定期間の延べ視聴率を合計したものが、GRPです。
(例)番組A(平均視聴率は5%)で2回、B(平均視聴率は8%)で1回、C(平均視聴率は10%)で3回流した場合のGRPの場合:
⇒5×2+8×1+10×3=48GRP
GRPの数値は、高ければ高いほど良いことに変わりはありません。一般的にGRPが高い番組ほど放映料金は高く、タイム広告のスポンサーなどはこの点を考慮してCM出稿を決めることもあります。
一方で、録画してCMを飛ばしている人、CMのときはスマホなどを見ていてテレビCMを見ていない人などがいても、GRPの数値からはわかりませんので、必ずしも視聴率通りに全員がテレビCMを見ているとは限らないのです。
つまり、GRPを100%鵜呑みにするわけにはいかない、と言えます。
平均視聴率(世帯視聴率)はどうやって計算される?
平均視聴率は、調査対象エリアの世帯の何%が「CMが放送されたチャンネルを付けていたか?」という割合を表す数値です。
具体的な調査方法には「PM(People Mater:ピープル・メーター)システム」と「オンラインメータシステム」の2種類があります。
PMシステム
調査協力を受けた個人宅に設置され、テレビを視聴するたびにプリセットリモコン、またはPM表示器で個人データを入力するシステム
オンラインメータシステム
機械式世帯視聴率調査のシステムで、調査対象世帯に視聴率を測定する機器と測定データの蓄積および通信を行う機器を設置し、自動で集計するシステム
いずれも、調査世帯のテレビ(最大8台)にて、どのチャンネルで表示されていたかを1分に1回計測します。視聴率調査の対象となる世帯は統計学の理論に基づいてランダムに選ばれ、その確率は関東地区で約25,000分の1と非常に低いものです。
ただし、ずっと同じ世帯で視聴率を調査していると、対象世帯の構成員の年齢が上がっていったり、PMシステムの場合はボタン押しの負担が大きかったりして、調査結果の精度がだんだん下がってしまいます。
そこで、地区により2~3年の周期で全ての世帯が入れ替わるようにローテーションされます。
GAP(グロス・アテンション・ポイント)とは
GRPの不確定要素を補う方法として、新しく開発された「広告に対する注目度(アテンション・ポイント)を計測する方法」がGAP(グロス・アテンション・ポイント)です。
顔認識技術で得られた「視聴者個人単位の行動記録データ」に解析を加え、顧客が実際にどのくらいテレビCMを見たか、つまり画面を注視したかどうかを計測します。
GAPなら、GRPとは違い「どれくらいの視聴者がテレビ画面を注視していたか」を知ることができるため、録画で飛ばしている人や、CMになると画面から目を離す人を除いた「実際にCMを見ている視聴者」の割合を可視化できます。
ただし、GAPはまだ確立された手法ではありません。2015年に実証実験が開始され、以降データを計測中の段階です。今後、手法の確立が待たれます。
GRPとWEB上の行動データによる効果検証
近年ではテレビCMの広告効果検証方法として、GRPとWEB上の行動データを組み合わせる手法も注目されています。これまで消費者はテレビCMを見た後、店舗で商品を購入したり、電話で注文したりするのが一般的でしたが、現在はテレビCMを見て気になった商品やサービス、企業はまずWEB検索するのが当たり前になっている時代からです。
例えば、指名検索数という商品・サービス・企業名そのものが検索された数が一つ、テレビCM効果の指標になり得ます。テレビCM放映後に指名検索数の増加が明らかに見られた場合は、テレビCM接触によって商品やサービス、企業の認知度が高まったと考えられます。ただし、同時期にWEB広告など他のCM広告を出稿していると、テレビCMだけの純粋な効果分析ができないため、注意しましょう。
企業や商品・サービスページのWEBサイトへのアクセス数も、テレビCM効果の指標になるでしょう。テレビCM放映前後でどのくらいWEBサイトへのアクセス数が増減したか、どれくらい商品やサービスの購入に至ったかで、広告費の費用対効果が可視化できるでしょう。
消費者が日常的にテレビとWEBを行き来しながら消費行動を行う現在、テレビとWEBを連携して効果検証をするのが現実的です。
まとめ
テレビCMの効果は、平均視聴率と放送回数を掛けて合計した「延べ視聴率=GRP」で表されます。これはどのくらいテレビCMが放映されたのかというもので、効果測定しづらいテレビCMがどのくらい見られたかを予想できる手法です。
ただ、実際に視聴者が画面を見たかどうかやや不透明という懸念もあるため、現在ではGAPという手法も開発されています。
また、消費者が日常的にテレビとWEBをまたいで利用している以上、テレビCMの効果検証にはWEB上の行動データも重要です。
より効果的な測定方法の開発に、期待が高まります。