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印象に残るCMとは?BtoB、BtoCの事例から考える

CMを放映する目的はブランディング、認知度アップなどさまざまですが、どの目的を達成するにしても、商品やサービス、企業について覚えてもらう必要があります。そのためには、視聴者の印象に残らなくてはなりません。印象に残るCMとは、どんなCMなのでしょうか。BtoB・BtoCのCMそれぞれ5本ずつを例に、印象に残るCMについて考察します。

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目次[非表示]

  1. 1.【BtoB編】印象に残るCM5選
    1. 1.1.AGC「AではじまりCでおわる素材の会社はAGC」15秒
    2. 1.2.SATORI「会議室篇」15秒Ver.
    3. 1.3.Sansan「変化にやられた 篇」前編
    4. 1.4.タレントパレット「千手観音篇」
    5. 1.5.ビズリーチ「人事以外もビズリーチ(DX)篇」
  2. 2.【BtoC編】印象に残るCM 5選
    1. 2.1.KDDI「進め!そっちだ!篇」
    2. 2.2.ソフトバンク「なにわ男子、超接近。篇」
    3. 2.3.NTTドコモ「『あなたと世界を変えていく。』街をつなぐ篇」
    4. 2.4.日清 どん兵衛「どんぎつねシーズン2 秋祭 篇」
    5. 2.5.Uber Eats Japan「今夜、私が頂くのは… 楽器篇」
  3. 3.印象に残るCMの作り方
    1. 3.1.条件①:GRPを高める
    2. 3.2.条件②:注視を獲得しやすくする
  4. 4.まとめ

【BtoB編】印象に残るCM5選

企業をターゲット層とする、BtoB企業が放映しているテレビCMのうち、特に印象に残るCMをご紹介します。

AGC「AではじまりCでおわる素材の会社はAGC」15秒


社名をわかりやすく表現したキャッチフレーズを、思わず口ずさみたくなるようなメロディに乗せて歌っています。
何度も繰り返し歌うことで耳に残るのに加え、ワンフレーズが一息で言えるくらい短く、聞いたときにパッと理解しやすくまとまっているのがポイント。

画面構成も、有名タレントの広瀬すずさんを起用し視聴者の興味を引いているほかは、背景もなく社名と「何をしている会社なのか」だけをシンプルに記載し、視聴者に発信する情報を絞り込んでいます。情報を絞り込むことで、何を伝えたいのかが明確になり、視聴者の意識に残りやすいCMになります。

SATORI「会議室篇」15秒Ver.


有名タレントの上戸彩さんを起用し、ドラマ仕立てにしたCMです。ドラマ仕立てのCMは多いですが、このCMのポイントは最初に商品名や社名を出さず、自然な導入で視聴者をCMの世界に引き込んでいるところ。なんとなく見てもらう、という最初のハードルをクリアしやすくなっています。

ドラマの内容も「工事の音がうるさい」という、誰しもに経験があるところからスタートし、隣のオフィスが成果を出している、なぜ?というビジネスマンなら一度は考えることにフォーカスするというように、共感に重点を置いているのも重要。
最後に、なぜ?の答えとしてサービス名を出すことで、ストーリーとしてサービスを覚えられるようになっています。

Sansan「変化にやられた 篇」前編


ドラマ仕立てのCMの中でも、ストーリー性に強く重点を置いたCMです。サービス名は最後まで出さず、あくまでもサービスの内容を理解してもらうためのストーリーを展開することで、どんなサービスなのか、サービスの利用でどんなメリットがあるのかが直感的に印象に残るようになっています。

登場人物を絞り込んで、問題提起をする側の上司と解決策を提示する部下、という構図にしているのもわかりやすく、ストーリーに入り込みやすいポイントです。また、真面目なドラマが進んで行った後で「それ、早く言ってよ〜」とあえて崩したセリフを入れ、セリフを強く印象づけることにも成功しています。

タレントパレット「千手観音篇」


音声から画面構成まで、インパクトを非常に重視したCMです。「千手観音篇」と言っているように、主人公である小池栄子さんの後ろからさまざまな「腕」が出ている様子は思わず目を引きます。その後のカラフルな手書き背景も、不思議な動きも目が離せないでしょう。

また、音声もセリフ、ナレーション、歌、キャッチフレーズと多種多様な印象づけの工夫がなされています。特に、不思議な動きと不思議な歌のマッチは強く印象に残るでしょう。最後に「じーん…人事だけに」とダジャレを入れているのも、クスッと笑えて覚えやすいCMです。

ビズリーチ「人事以外もビズリーチ(DX)篇」


セリフとテロップを完全一致させ、言葉としての情報を重視したCMです。近年、多くの業界で注目を集める「DX」という言葉を冒頭に持ってくることでCMに入り込みやすくし、ストーリー性よりも抑揚の激しいセリフを多用して緊急性や必要性をアピールしています。

最大のポイントは、「現場が、直接、ビズリーチ」というキーフレーズを、主人公の後に周囲の人が繰り返していること。ワンフレーズをさらに短く区切り、かつ繰り返すことで、より効果的に視聴者の印象に残るよう工夫されています。

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【BtoC編】印象に残るCM 5選

消費者に商品やサービスを提供する、BtoC企業のテレビCMから、特に印象に残るCMをご紹介します。

KDDI「進め!そっちだ!篇」


最初から最後まで、軽快な歌に乗せてストーリーが進むCMです。待ち合わせを待っているのか、ちょっとした隙間時間にスマホゲームをすることは誰しも覚えがあるのではないでしょうか。共感を呼び起こして視聴者をCMの世界に引き込むのと同時に、画面の中でもスマホゲームの中に入っていきます。
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KDDIのCMは「三太郎シリーズ」としてキャラクター自体が既によく知られているのですが、このキャラクターも視聴者がよく知る馴染み深い「桃太郎」や「金太郎」、「浦島太郎」を中心としたおとぎ話をモチーフにしたもの。このように視聴者のよく知るものと結びつけると、印象づけやすくなります。

ソフトバンク「なにわ男子、超接近。篇」


7人組アイドルグループ「なにわ男子」を起用し、ファンはもちろん普段からテレビをよく見る人に親しみやすいCMとなっています。ソフトバンクといえば白い犬の「お父さん犬」が有名ですが、このCMでも「お父さん犬」は健在。主人公の女性と軽快な掛け合いをしています。

このように、CMをシリーズ化してずっと同じキャラクターを使っていると、視聴者に「あの企業のCMだ」と見ただけでわかってもらいやすくなります。すると、企業についていちいち説明する必要がなくなり、その分他の情報を入れられるだけでなく、印象を強化することにもつながるのです。

NTTドコモ「『あなたと世界を変えていく。』街をつなぐ篇」


KDDIやソフトバンクが独自のCMキャラクターで印象づけることに重点を置いている一方で、キャラクターを使わずCMを作っているのがNTTドコモです。モバイル回線のキャリアの中で3割という圧倒的なシェアを誇り、既に十分な知名度があることから、そこをスタート地点としてCMを作れています。

モバイルシェアに強みを持つことを切り口にして「ドコモはもう、モバイルだけの会社じゃありません」という驚きをもたらすフレーズで始まり、「驚き」が街中に回線網として広がっていくようなイメージを展開します。最後に「あなたと世界を変えていく。」という、思わず口に出したくなるようなキーフレーズで締めくくることも忘れていません。

日清 どん兵衛「どんぎつねシーズン2 秋祭 篇」


近年、採用する企業も増えているフルアニメーションのCMです。実写に商品を入れると風景の中に埋没してしまうことも多いのですが、あえてアニメーションで情報量を絞った中に商品を精細に書き込むことで、パッと商品に目が行く仕上がりになっています。

アニメーション自体のストーリー性も強く、「どんぎつね」を擬人化した女性キャラクターと青年の心あたたまる交流が、ほのぼのと素朴な絵柄で描かれます。「どんぎつね」シリーズは吉岡里帆さんと星野源さんの実写版が先にあり、アニメーションでもそのイメージが引き継がれているため、実写シリーズを見ていた人にはより馴染み深いCMです。

Uber Eats Japan「今夜、私が頂くのは… 楽器篇」


有名ヴァイオリニストの葉加瀬太郎さん、有名キャラクターのムックを起用したCMです。葉加瀬さんのヴァイオリン演奏をCMの中心に据えることで、インパクトを重視。ムックとの掛け合いもコミカルで、注文が届いても夢中でセッションする様子に思わずクスッと笑ってしまう展開になっています。

また、Uber EatsのCMですっかりお馴染みとなった「今夜、私が頂くのは…」というフレーズを冒頭に持ってくることで、「これはUber EatsのCMだな」と視聴者にわかりやすくなっているのもポイント。その上で、注文が来たのに楽器を弾き続ける二人の様子が「ズレ」から笑いを生み、視聴者の印象に残りやすくなっています。

印象に残るCMの作り方

テレビを見る子ども

ここまで、さまざまな印象に残るCMを見てきました。最後に、印象に残るCMを作るためのポイントを2つご紹介します。

条件①:GRPを高める

印象に残るCMにするためには、GRPを高めるのが1つの方法です。想起率とGRPにはある程度の相関性があります。つまり、何度も見るCMは印象に残りやすいということです。
これは、何度も復習をすれば覚えられる学習効果と同じで、一定の効果が期待できます。

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条件②:注視を獲得しやすくする

印象に残るCMにするためのもう一つのポイントとして、注視を獲得しやすくするという方法があります。今回ご紹介したCMはいずれも、注視を獲得することにポイントを置いています。GRPが高くなくても、注視を獲得できているCMは想起率が高いことから、印象に残っている、と考えられるのです。

注視を獲得するために必要な要素はさまざまですが、例えばKDDIやソフトバンクのような「シリーズもの」、各社が起用する「旬なタレント」、登場人物の会話による「共感」などがまず挙げられます。これらは意識的に見てしまう要素だとされています。

一方、無意識的に見てしまう要素として「音の強弱」や「アップと引き」などがあり、今回ご紹介した中ではビズリーチやNTTドコモ、日清などが効果的に活用していました。

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まとめ

印象に残るCMを作るためには、GRPを高めることはもちろん、注視を獲得できているかどうかに着目する必要があります。

今回紹介したCMでも、印象的なフレーズを使った歌、見やすいドラマ仕立て、ゲーム画面のような演出、実在の人物をあえてアニメーションにするなどさまざまな印象づけのための工夫がなされていました。
印象に残るクリエイティブを作成するためには、こうした要素を積極的に取り入れていきましょう 。

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