テレビCMの成功事例にはどんなものがある?成功のポイントとは?
YouTubeなどの動画サイトやウェブCMが広まった現代でも、テレビCMの持つ影響力はまだまだ健在です。例えば、テレビCMで流れた歌をつい口ずさんでしまったり、キャッチーなフレーズをつい日常会話で話題にしたりといった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
今回は、このようにテレビCMの中でも特に成功したと言える事例と成功のポイントをまとめました。これからテレビCMの作成を検討している企業の方は、ぜひご参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.テレビCMの成功事例(BtoC)
- 1.1.カルビー「じゃがりこ」平成ヒストリー篇
- 1.2.花王「キュレル」反抗期の息子と、おせっかいな母篇
- 1.3.松坂亭三澤
- 2.テレビCMの成功事例(BtoB)
- 2.1.HRBrain「従業員エクスペリエンスクラウド EX Intelligence」従業員エクスペリエンスといえば篇
- 2.2.サテライトオフィス
- 2.3.NTT西日本「ニューノーマル時代の働き方」篇
- 3.テレビCMを活用した販促を成功させるポイント
- 3.1.ターゲットユーザーを絞り込む
- 3.2.時流を捉える
- 3.3.制作会社に依頼or自社で制作
- 3.4.定期的に効果測定を行う
- 4.まとめ
テレビCMの成功事例(BtoC)
テレビCMの成功事例のうち、まずはBtoCの消費者に訴えかけるCMについて見ていきましょう。
カルビー「じゃがりこ」平成ヒストリー篇
カルビー「じゃがりこ」と言えば、「じゃがりこじゃがりこじゃがりこ…」という音声とともに、ザクザクとした食感を最大限に表現した、初代CMが強く印象に残っている人も多いのではないでしょうか。
「平成ヒストリー篇」では、そんな初代のCMを復刻し、オンエアが2019年4月という平成最後の月だったことに合わせて、平成の各時代に流行していたメイクやファッションとともに、じゃがりこのパッケージデザインを振り返りました。
つまり、CMが放映された時期は、平成最後の月として新元号へ向けて時流が盛り上がっていたときです。
明治〜昭和までは歴代の天皇陛下の崩御とともに新元号に変わったため、できたとしてもお祭りムードで行うことは難しかったでしょう。しかし、令和に限っては崩御を伴わない明るいムードでのスタートとなりました。新元号をポジティブに迎えるこのCMは、時流をよく捉えて人の心にアピールしたと言えるでしょう。
元来のキャッチーな内容を使いつつ、時代とともにじゃがりこの歴史も振り変えることで、更なるブランディング強化に繋がったのではないでしょうか。
下記はテレビCMのブランディングの効果に関する詳細記事です。
花王「キュレル」反抗期の息子と、おせっかいな母篇
花王のシャンプー&コンディショナー「キュレル」は、乾燥性敏感肌の方に向けた製品です。
「反抗期の息子と、おせっかいな母篇」では、そんな自社製品のターゲットユーザーに対してピンポイントで訴えかけるCMになっています。反抗期で何かと親に素直になれない息子と、そんな息子を心配せずにはいられない母の思いが丁寧に描かれており、思わず最後まで見たくなってしまう内容です。
このCMでは、単なる製品紹介よりも雰囲気やキャッチコピーで視聴者にアプローチしているため、より視聴者の共感を得られやすくなっています。「中にはシャンプーのCMだったの!?」と驚く声も。
思春期の子どもにとっても、親にとっても共感しやすいドラマになっているほか、「想いで、人は潤う」の短いキャッチコピーが視聴者に「刺さる」CMです。 印象に残りやすい内容な分、競合との差別化が図れたのではないでしょうか。
松坂亭三澤
お肉も誰もが「美味しそう」と思えるよう、大胆なカットシーンから焼肉、すき焼き、しゃぶしゃぶなど代表的な肉料理をセレクト。料理の音をそのまま使うことで、より臨場感あふれるCMに仕上がっています 。
「食べてみたい」「行ってみたいな」「どんなお店だろう?」という興味関心を、視聴者に与えることができたのではないでしょうか。
テレビCMの成功事例(BtoB)
次に、BtoBとして企業を顧客とするテレビCMの成功事例について紹介します。
HRBrain「従業員エクスペリエンスクラウド EX Intelligence」従業員エクスペリエンスといえば篇
HRBrain社では、同名の人事評価クラウドサービスを提供しています。
企業内で行われる目標設定や面談、期末のフィードバックや集計などを行うこのシステム。
今まではWebマーケティング中心に集客を行っていたこともあり、IT業界を中心に広まっていましたが、IT業界の外での認知度が低いことが課題でした。
「従業員エクスペリエンスといえば篇」は、IT業界の外での認知拡大を目的としており、課題を絞り込んで作成されたCMです。マスメディアを利用した集客へとシフトするにあたり、サービスの内容が初めて見る人にもよりよく分かるよう、シリアスな雰囲気で課題感の訴求をしつつ、解決策までがシンプルでわかりやすいクリエイティブになっています。
その結果、指名検索数は倍に、問い合わせ元の企業も飲食店や洋菓子店、病院や学校など多岐にわたる業界へと増やすことができました。
サテライトオフィス
CMでは、クラウドサービスを導入するにあたって問題提起を行い、検討する経営者の悩みを汲んだ上で、サービスで解決できる!というわかりやすいストーリーを作りました。
ワークフローや勤怠管理など、実際に導入したら何ができるのかをテロップで表示し、より視覚的にも訴えかけられています。
30秒という短い時間ながら簡潔なストーリーでメリットが強調されており、さらっと見ただけでも印象に残りやすいCMです。分かりやすい構成な分、商品の認知度向上に大きく寄与したのではないでしょうか。
NTT西日本「ニューノーマル時代の働き方」篇
NTT西日本グループ「ニューノーマル時代の働き方」篇では、ICTによる働き方改革のポイントをわかりやすく解説しています。積極的なICT導入により、ニューノーマル時代の働き方を手に入れた会社を紹介する、という内容のCMで、詳細はCMで説明せずホームページに誘導することを目的としています。
そのため、他のCMとは異なり、ターゲット層が気になるであろうワードをぽんぽんと取り上げて、興味をそそる内容なのが大きな特徴です。メッセージも「(I)いま始めれば (C)ちょっと違う (T)Tomorrow」と短くまとめられ、何だろう?と期待感を匂わせています。
「未来の会社はこうなるのかな?」というワクワクする気持ちが、「時代の最先端を走る企業」というイメージ向上に大きく貢献できたのではないでしょうか。
テレビCMを活用した販促を成功させるポイント
ここまで見てきた内容をもとに、テレビCMを活用した販促を成功させるポイントについて考察します。
ターゲットユーザーを絞り込む
花王、サテライトオフィスのCMの例からは、ターゲットユーザーを絞り込むことの重要性がうかがえます。
花王の例では思春期の子どもと親、サテライトオフィスでは経営者やクラウド担当者がターゲットです。いずれもターゲット層をしっかりと絞り込んだ上で共感を集めるCM構成になっており、共感から商品やサービスへの関心を引き出しています。
時流を捉える
カルビー、NTT西日本の例からは、トレンドを捉えることの重要性がわかります。
時流に沿った内容のCMを作ることで、視聴者からの共感を得やすくなり、興味や期待を抱いてもらいやすくなるでしょう。その後のWeb検索への誘導や商品購入へもつなげやすくなるはずです。
制作会社に依頼or自社で制作
松坂亭三澤、HRBrainの例からは、制作会社に全て依頼するパターンと、自社で作成するパターンがあります。
今回はいずれも制作会社に依頼したパターンではありますが、松坂亭三澤は撮影場所を自店舗で行い、自店舗の良さを最大限に引き出したCMです。自社で制作を考慮する際のヒントになるでしょう。
一方、HRBrainはこれまで同社が扱ってこなかったターゲット層を新規開拓するにあたり、制作会社のノウハウを十分に活かしてシンプルでわかりやすい構成にしています。タレントを起用するのも印象に残りやすいですね。
完全に自社で制作することも可能ですが、品質を担保する上では制作会社を活用するのがおすすめです。予算にあわせて自社で作成、もしくは制作会社に依頼する範囲を検討しましょう。
✔下記は「CM制作の流れ」をまとめた記事です。業務範囲を検討するうえで参考にしてください。
定期的に効果測定を行う
どのテレビCMにも言えることとして、定期的に効果測定を行い、どのくらい効果が得られたか、効果の有無の理由を分析することが重要です。効果測定の後は、効果があったテレビCMの方向性でクリエイティブを作成していくようにしましょう。このように、PDCAサイクルを回していくことでより良い循環を生むことができます。
✔テレビCMの効果測定に関する詳しい記事はこちら
まとめ
テレビCMの成功事例はBtoC(消費者をターゲットとしたもの)と、BtoB(企業をターゲットとしたもの)がありますが、いずれにおいても成功させるためのポイントは同じで、限られた予算の中でいかにターゲットユーザーの興味関心をそそったり、課題解決をアピールしたりできるかになります。
特に、定期的に効果測定を行うことは、テレビCMの費用対効果を考える上で非常に重要です。今回ご紹介したようなポイントをおさえ、費用対効果が最大限に得られるテレビCMを作りましょう。