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テレビCMの素材搬入基準とは?サイズや解像度、納品方法を解説

テレビCMを流すためには、元となる動画の素材が必要です。しかし、作成する側が動画のサイズや解像度をバラバラに作ってしまうと、テレビで流したときに画面が荒くなったり、テレビの縦横比に合ったサイズにならなかったりして、見やすく放映できなくなってしまいます。そこで、テレビCMには素材の搬入基準が定められています。サイズや解像度のほか、納品方法もしっかり確認しましょう。

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目次[非表示]

  1. 1.テレビCMの搬入フォーマット
    1. 1.1.映像記録方式
    2. 1.2.音声記録方式
    3. 1.3.セーフティゾーン
  2. 2.テレビCMには名前やコードが必要!
    1. 2.1.CM素材名をつける
    2. 2.2.10桁CMコードをつける
  3. 3.テレビCM素材の搬入方法
  4. 4.まとめ

テレビCMの搬入フォーマット

まずは、テレビCMを搬入するために決められたフォーマットから見ていきましょう。

映像記録方式

テレビCMの映像は、すべてHD(ハイビジョン)画質の素材が求められます。ただし、フォーマットに関しては各放送局の持つ設備機器によって異なるため、納品先の放送局にフォーマットを確認し、それに合った媒体で搬入しましょう。

標準アスペクト比(横縦比)は16:9で、デジタル記録方式は1080iです。かつてのアナログ放送では4:3が標準でしたが、デジタル放送、ハイビジョン放送への移行に伴い、16:9が標準として採用されるようになりました。

デジタル記録方式とは解像度のことで、1080iの「i」とは「インターフェイス走査」の頭文字をとったものです。走査線数とは水平方向に走る映像の帯のことで、奇数列と偶数列に分けて順番に送られます。1080本の走査線数のうち奇数列を1/60秒で送り、続けて偶数列を1/60秒で送ることで、一つのコマが1/30秒で送られる仕組みがインターフェイス走査(飛び越し走査)です。

これに対し、プログレッシブ走査(順次走査)という手法もあり、液晶画面などで使われています。これは上から順に映像を送ることで一つのコマを作るです。インターフェイス走査はブラウン管時代に電波に問題が生じても違和感のない映像を配信するために作られた技術で、デジタル放送に変わった現在ではプログレッシブ走査も徐々に採用され始めています。

音声記録方式

撮影機材

音声記録方式は、「ステレオ」「モノラル」「5.1+S」の3種類があります。ステレオ音声は音声チャンネル1・2の2つを使い、モノラル音声は音声チャンネル1・2を1つずつ使いますが、同じ音声を記録することと定められています。また、CM内容の開始と最後には0.5秒以上の無音声時間を設けることも決まっています。

「5.1+S」はいわゆるサラウンドに対応した音声記録方式で、音声チャンネル1〜6に5.1ch音声を、7・8にステレオ音声を記録することと決められています。サラウンド音声素材は受けつけられる設備機器があるかどうかによって搬入できるかどうかが決まりますので、各放送局に確認しましょう。また、ドルビー方式など、付加装置が必要なものは受け付けられません。

さらに、音量を平均化する、すなわち視聴者に聞こえる音がテレビ番組本編とテレビCM、チャンネル間で大きく異ならないための手法として、平均ラウドネス値が定められています。-24.0LKFS(±1LKFS)が平均となるよう、特記事項がない場合はどの場面でも音の大きさを-28LKFS~-23LKFSの間におさめるのが決まりです。

音の単位というとデシベル(dB)を想像する人が多いかもしれませんが、デシベルが単純な音の強さを表すのに対し、LKFSは人間の聴覚の特性に合わせて作られた単位で、音の周波数の違いによる聞こえ方の違いに合わせています。

テレビCMの素材を搬入する際には、添付する「CM記録票」に少数点以下第1位まで測定した平均ラウドネス値の記入が必要です。また、平均ラウドネス値が-28LKFSを下回る場合は、理由も合わせて記載しなくてはなりません。

セーフティゾーン

テレビでは映像が画面いっぱいに表示されますが、正しいアスペクト比で編集されていない、またはテレビ本体の大きさが合っていない、テレビ自体の表示設定が番組と合っていないなどの理由でテロップが途切れることがあります。

特に広告では表示情報が切れてしまうのを避けたいため、テレビ側の問題は仕方ないとしても、正しいアスペクト比で編集することはもちろん、メーカーによる多少の機器の大きさの差による「セーフティゾーン」を守る必要があります。

セーフティゾーンとは名前の通り、この範囲であれば映像の端が切れにくいというものです。文字などの「タイトルセーフマージン」(※マージン=割合)は縦横95%以内、見せたい映像自体の「アクションセーフマージン」は縦横97.5%以内におさめるのが良いとされています。

テレビCMには名前やコードが必要!

テレビCMには、それぞれ名前や唯一のコードを設定する必要があります。

CM素材名をつける

テレビCM素材を搬入する際には、必ず「CM素材名」をつけなくてはなりません。なお、これは以下にも記載される内容であり、必ず同じ名前をつけるよう決められています。

  • CM素材交換メタデータ
  • テレビ番組CM連絡表、またはテレビスポットCMスケジュール表
  • CM素材内のクレジット
  • 搬入媒体のケース用カード、カセット用シール
  • CM記録票
  • スポットEDIの伝送情報

特に、スポットEDIの伝送情報としてデジタルデータで伝送する際に送付できない名称はつけられません。そのため、CM素材名をつける際には、以下のルールが設けられています。

  • 文字数は全角30字以内(スペース含む)
  • 素材名の最後にスペースを入れない
  • 原則として商品名を初めに入れ、内容を判別しやすくする
  • JIS-X0208で定められる全角文字のみ使用可能

10桁CMコードをつける

10桁CMコードは放送されるすべてのテレビCM素材に必要で、制作段階から搬入はもちろん、放送確認書まですべての段階で使われますので、つけ忘れないよう注意しましょう。また、「I(アイ)」「O(オー)」は誤認につながるため入れられないほか、ハイフンやブランクも使えません。

10桁のうち最初の4桁は「共通コード管理センター」が発番した広告事業者を特定するための固定の番号です。同じ広告事業者が作るテレビCMには、すべて同じ4桁が頭につくことになります。残り6桁は広告事業者がそれぞれ独自ルールでつけるナンバーで1CM素材ごとに1つずつ固有のナンバーを設定します。

テレビCM素材の搬入方法

テレビCM素材の調整する人

テレビCM素材の搬入方法には、HDCAM、XDCAM、オンライン搬入の3つの方法があります。ただし、HDCAMはメーカーによる保守サポートが2023年3月に終了することが決まっているため、一部の例外を除いて新たなテレビCM素材をHDCAMで搬入することはできません。一部の例外とは、XDCAMに対応していない局や、2021年3月以前に制作された素材のみです。

そのため、今後はXDCAM(ディスク)による搬入か、専用サイトからのアップロードによるオンライン搬入の2種類が主な搬入方法となります。オンライン搬入でもファイル形式はXDCAM方式固有のMXF(Material eXchange Format)と決まっています。

オンライン搬入は、制作扱い広告会社であれば事前契約しておくことでアップロードまでやってもらえます。媒体扱い広告会社であれば、株式会社広告EDIセンターが運用する「CMDeCo」を使ってアップロードすることになります。いずれも費用はかかりますが、金額は企業によって異なります。

オンライン搬入でもコストはかかりますが、HDCAMやXDCAMなどの物理プリントと比べて複数の局にデータを送る場合に安価になる配送コストがかからなくなる搬入にかかる物理的な時間を短縮できる悪天候に左右されないなどさまざまなメリットがあります。

まとめ

テレビCMの素材搬入基準は細かく決められており、聞こえ方や見え方が番組やCMによって大きく変わらないよう工夫されています。また、搬入の際はCM素材名や10桁CMコードが必要なので、忘れず設定しましょう。搬入方法にオンラインも増えましたが、自社でこれらの作業を全て行うことは大変です。ぜひ、搬入も含めて専門のテレビCM制作会社に依頼してはいかがでしょうか。

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