テレビCMのGRPとは?GRPから算出できるパーコストのことも知ろう
テレビCMについて検討していると、「GRP」という言葉を見ることも多いのではないでしょうか。
GRPとはテレビCMの契約や効果測定などに使われる指標のことで、視聴率から計算します。また、GRPを使って計算できる値の一つに「パーコスト」というものもあります。本記事では、GRPとは何かを中心に、GRPから算出できるパーコストについても同時に見ていきましょう。
目次[非表示]
- 1.GRPとは
- 2.GRPはどう計算する?
- 2.1.GRPの計算方法
- 2.2.平均視聴率の計算方法
- 2.2.1.オンラインメーターシステム
- 2.2.2.PMシステム
- 2.3.個人視聴率とは?
- 3.視聴率に関わるコスト「パーコスト」の考え方
- 3.1.パーコストとは
- 3.2.パーコストの計算方法
- 3.3.時期・時間帯・放送局でのパーコストの違い
- 4.まとめ
GRPとは
GRPとは「Gross Rating Point」の略で、日本語では「延べ視聴率」と訳されます。特にスポットCMの契約に用いられる単位であり、テレビCMの効果測定にも使われる指標です。
スポットCMとは
テレビCMは2種類に分けられ、タイムCMとスポットCMがあります。タイムCMは番組の間に流すCMであり、当該番組のスポンサーになることで放送できるCMです。スポットCMは番組を指定せず、時間帯を指定して流すCMのこと。番組内で流れることもあれば、番組と番組の間に流れることもあります。
タイムCMとスポットCMについて詳しくは、以下の記事でご紹介しています。
GRPはどう計算する?
GRPはどのように計算されるのでしょうか。計算方法や算出方法について見ていきましょう。
GRPの計算方法
GRPは、「平均視聴率×放送回数」の式で計算されます。まずは分かりやすく、以下のような例を挙げてみます。
(例)平均視聴率20%のテレビ番組放映中に、3回テレビCMを放映した場合
平均視聴率 20% × テレビCM放映回数3回= 60GRP
単純に計算すると上記のような例となりますが、番組や時間を変えて何度も放映される場合、当該テレビCMが放映された時間帯の延べ視聴率を一定期間で区切り、合計したものがGRPとされています。
例えば、以下のような例が考えられます。
(例)番組A(平均視聴率は5%)で2回、B(平均視聴率は8%)で1回、C(平均視聴率は10%)で3回流した場合のGRPの場合
【番組A】5% ×2回 +【番組B】8% × 3回 +【番組C】10% × 6回 = 94GRP
原則として、GRPの数値は高ければ高いほど良い、つまり効果的だと考えられています。
一般的にGRPが高い番組や時間帯ほど放映料金は高くなる傾向にあり、ゴールデンタイムなどはその最たる例です。
しかし一方、録画してテレビCMは飛ばしながら見ている人、テレビCMが流れている間は他のことをしていてテレビから目を離している人などがいたとしてもGRPの数値からはわからないため、必ずしもGRPがすべてとは言えません。
平均視聴率の計算方法
平均視聴率は、該当する番組の放送時間内における視聴世帯、または個人の割合を表したものです。番組放送時間内における「毎分視聴率」の合計を放送時間(分数)で割り、パーセントで表します。世帯視聴率や個人視聴率はオンラインメーターシステム、PM(ピープルメーター)システムによって調査されます。
オンラインメーターシステム
機械式世帯視聴率調査のためのシステムで、名前通り世帯視聴率を計測するものです。調査対象の世帯に、視聴率を測定するための機器/測定データの蓄積・通信を行う機器を設置し、インターネット回線や電話回線を通じて、自動でデータを収集・集計することが可能になります。機器を設置することで、翌朝には視聴率が判明するようになっています。後述するPMシステムのように手動で測定しないため、調査対象世帯の負担が少ないメリットがあります。
PMシステム
主に個人視聴率の測定に使われますが、世帯視聴率も同時に測定できるシステムです。調査対象の世帯に機器を設置し、家庭内の最大8台までのテレビの視聴状況を測定します。テレビを視聴するたびに測定機つきのリモコンボタンを押すことで個人データを入力し、家族の誰がいつ、どの番組を視聴したか記録するため、視聴率だけでなくテレビの稼働率も記録できるメリットがあります。
個人視聴率とは?
視聴率には世帯視聴率と個人視聴率があり、世帯視聴率とはテレビ局の放送を見られる世帯のうち、どれだけの世帯でテレビ(当該番組)が実際についていたかどうか見るものです。4人の世帯で1人だけがテレビを見ていたとしても、4人全員が見ていたとしても同じ視聴率になるため、視聴人数が計測できるわけではありません。
一方、個人視聴率はテレビを見ている個人がどのくらいいるかについて計測するもので、一家にテレビが一台以上あるのが珍しくない現代では個人視聴率の方が時代に即していると考えられています。長く視聴率といえば世帯視聴率のことでしたが、現在では個人視聴率の考えにシフトしてきています。
視聴率に関わるコスト「パーコスト」の考え方
最後に、視聴率に関わるコストについて考えていきましょう。視聴率に関わるコストの指標としては、一般的に「パーコスト」が用いられます。
パーコストとは
1%の視聴率を得るためにどのくらい費用がかかるのかを表したのが「パーコスト」です。略さず、パーセントコストと呼ぶこともあります。視聴率は測定方法によって世帯視聴率のことも、個人視聴率のこともあり、どちらも使われます。ただし前述の通り、現代では個人視聴率が用いられることが多くなってきています。
一般的に、パーコストが高いほど多くの世帯や個人が見ていると考えられます。これは1%の人数がそもそも異なるためで、1%の視聴率を得るために数万人に見てもらわなくてはならないエリアと、1%の視聴率を得るために数百人に見てもらえばいいエリアではパーコストが異なるのです。当然ながら、前者の方がパーコストが高いです。
パーコストの計算方法
パーコストは、広告費をGRPで割って得られます。実際にテレビCMを流すためにかかった費用をGRPで割ったものがパーコストです。前述のように、1%の視聴率を得るためにかかるパーコストは都市部(キー局)ほど高く、地方(ローカル局)ほど低い傾向にあります。そのため、パーコストが高いほど効果が得られやすい、パーコストが低いほど効果が得られにくいとも言い換えられるのです。
時期・時間帯・放送局でのパーコストの違い
パーコストは時間帯や時期、放送局によっても異なります。前述のようにゴールデンタイムのパーコストは高くなりやすいです。一方、テレビを見ている人が少ない14〜15時ごろなどは、パーコストが低い傾向にあります。
また、オリンピックやサッカーなどの時期でテレビを見る人が多い時期、ボーナス商戦期などでテレビCMを放映する企業が多い時期のパーコストは高くなる傾向にあります。さらに、前述のようにパーコストはエリアによっても、ローカル局かキー局かによっても異なり、多くの人が見る地域・局ほどパーコストが高くなる傾向があります。
まとめ
GRPとは「延べ視聴率」のことで、「平均視聴率×放送回数」で計算されます。一般的にGRPが高いほどテレビCMの効果が高いと考えられますが、テレビCMを飛ばして見る人やCMの間は画面から目を離す人もいるため、GRPを鵜呑みにするわけにはいきません。また、GRPに関わるコストとしてパーコストという考え方があります。
パーコストは広告費をGRPで割ったもので、1%の視聴率を得るためにどのくらいコストがかかるかというものです。GRPとパーコストをよく検討しながら、効率的にテレビCMを放映しましょう。