テレビCMの表現に関するルールと出稿時の注意点
テレビCMを出稿する前には、各放送局での考査が行われます。放送局による考査には、大きく“業態考査”と“表現考査”の2種類があり、広告主の信用性だけでなくCM素材の内容・表現についても審査されます。
これからCM素材を制作する企業のマーケティング部門や広報部門の担当者のなかには、「テレビCMの表現にはどのようなルールがあるのか」「出稿時に気をつけておくことはあるか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、テレビCMの考査でチェックされる表現に関するルールや出稿時の注意点について解説します。
なお、テレビCMの考査に関する基礎知識はこちらの記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.テレビCMの表現に関するルール
- 1.1.➀各種法令
- 1.2.②日本民間放送連盟の放送基準
- 1.3.③業界の自主基準
- 2.テレビCMを出稿する際の注意点
- 3.まとめ
テレビCMの表現に関するルール
テレビCMの表現考査では、主に3つのルールを満たしているかのチェックが行われます。法令に接触する内容や視聴者の誤解を招く表現などがあると考査を通過できなくなるため、注意が必要です。
➀各種法令
テレビCMを含む広告の内容・表現については、各種法令で定められた規定を遵守することが求められます。
事実と異なる内容や視聴者に不利益が生じる内容、誤解を招く誇張表現などは法令によって禁止されています。テレビCMの表現考査でチェックされる法令には、以下が挙げられます。
▼テレビCMの考査でチェックされる法令の例
- 不当景品類及び不当表示防止法(以下、景品表示法)
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
- 食品表示法
- 特定商取引法
- 消費者契約法
- 健康増進法
- 貸金業法
- 資金決済法
- 公職選挙法
- 職業安定法
- 銀行法
- 割賦販売法
- 建設業法
- 宅地建物取引業法 など
分かりやすい身近な例としては、“最大”や“ナンバーワン”などの最上級表現が挙げられます。このような表現は、客観的な根拠を示さない限り使用できないことが景品表示法によって定められています。
②日本民間放送連盟の放送基準
日本民間放送連盟の放送基準とは、テレビやラジオによる放送を行う際に遵守が求められる基準のことです。テレビCMを含む広告に関連する放送基準には、以下のような内容が定められています。
▼テレビCMに関する放送基準の主な内容
- 関係法令に反しないこと
- 視聴者の利益や健全な社会生活・習慣を害さないこと
- 事実と異なる虚偽・誇張の表示をしないこと
- 他者への誹謗中傷を行わないこと
- 暴力表現・犯罪表現に注意すること
- 性的な表現には十分に配慮すること
- 係争中の問題に関する一方的な主張や通信・通知をしないこと
- 科学的根拠を否定するものを取り扱わないこと
- 錯覚や不快な感情を起こさせる表現をしないこと など
視聴者の利益に関わる内容や、児童・青少年への配慮が必要な内容などについては、テレビCMでの取り扱いと表現に注意する必要があります。
テレビCMを制作する際は、視聴者に事実を伝えることはもちろん、視聴者にとって利益をもたらす内容にすることが求められます。
③業界の自主基準
業界によっては、テレビCMの表現について独自の自主基準を定めている場合があります。自社の業界や取り扱う商材に応じて自主基準が定められていないかを確認しておくことが重要です。
自主基準が定められている主な業界には、以下が挙げられます。
▼テレビCMの表現について自主基準が定められている主な業界
業界 |
自主基準の内容 |
化粧品 |
日本化粧品工業連合会によって『化粧品等の適正広告ガイドライン』が定められている |
医薬品 |
日本OTC医薬品協会の広告審査会によって自主審査が行われる |
自動車業 |
自動車公正取引協議会によって、自動車業での表示に関する公正競争規約および施行規則が定められている |
貸金業 |
日本貸金業協会によって広告審査の基準が定められている |
酒類 |
飲酒に関する連絡協議会によって広告・宣伝や容器の表示に関する基準が定められている |
テレビCMを出稿する際の注意点
放送局にテレビCMを出稿する際は、CM素材の表現に関する資料の提出やフォーマットに沿った搬入が必要になります。
表現の根拠を示す資料の提出が求められる
CM素材を放送局に搬入する際には、広告内の表現に関する根拠を示す資料を提出することが求められます。
▼表現の根拠を示す資料の例
- 調査・分析結果報告書
- 商品の取扱い説明書・仕様書
- 価格・プラン表
- キャンペーンの概要書 など
調査・分析結果については、客観的・合理性のある公正な資料が必要とされます。
業界独自の自主基準が設けられている場合には、審査が行われる機関・団体が指定する資料を確認しておくことも重要です。
また、各種法令や放送基準を遵守している場合でも、最終的な判断は各放送局によって行われます。放送局の社内規程に適合しない内容や社会情勢を踏まえて放送を控えたほうがよいと考えられる内容などについては、審査に通らないケースも考えられます。
CM素材の搬入フォーマットが決まっている
テレビCMの考査を依頼する際は、放送局が指定する搬入フォーマットに沿ってCM素材を搬入する必要があります。
▼搬入フォーマットの主な規定内容
- 搬入可能な媒体・データ形式
- 映像・音声記録方式
- CM素材の名称
- CM素材を識別する10桁のコード など
搬入フォーマットに沿わないCM素材は再度修正が必要になり、出稿までに期間がかかってしまう可能性があるため、制作前に確認しておくことが重要です。
なお、CM素材の搬入基準についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、テレビCMの表現に関するルールについて以下の内容を解説しました。
- テレビCMの表現に関するルール
- テレビCMの考査を依頼する際の注意点
放送局によって行われるテレビCMの表現考査では、各種法令・放送基準・業界の自主基準といった主に3つのルールに適合しているかをチェックされます。
事実と異なる内容や、視聴者に誤解または不利益をもたらす可能性があると判断されないように、CM素材の内容・表現に注意する必要があります。
考査を依頼する際は、CM素材の表現に関する根拠を示す資料を提出するとともに、各放送局が指定する搬入フォーマットを確認しておくことが重要です。
また、考査の基準と搬入フォーマットに沿ったテレビCMをスムーズに制作・出稿するには、広告代理店やCM制作会社にサポートを依頼することも一つの方法です。
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こちらの資料では、テレビCMの出稿に関する疑問をまとめています。ぜひご一読ください。