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テレビCMの著作権は誰に帰属する? 権利に関する注意点とは

企業や個人の知的財産が無断で使用されることを防ぐために、著作権法に基づいて著作者が持つ権利が定められています。

著作物とは、思想または感情を創作的に表現したものを指しており、小説や論文、音楽、映画、写真、絵画などが該当します。

企業がPRやブランディングなどを目的に出稿するテレビCMにおいても、制作者に対して著作権が発生します。ただし、テレビCMの制作を外部の制作会社に依頼する場合には、著作権の取り扱いについて注意が必要です。

企業のマーケティング部門や広報部門の担当者のなかには、「テレビCMの著作権は誰に帰属するのか」「著作権について注意しておくことはあるか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、テレビCMにおける著作権の取り扱いとテレビCMを制作する際の注意点について解説します。

出典:文化庁『令和5年版 著作権テキスト


目次[非表示]

  1. 1.テレビCMにおける著作権の取り扱い
  2. 2.テレビCMの著作権は誰に帰属するのか
  3. 3.テレビCMの権利に関する注意点
    1. 3.1.➀出演者の肖像権について確認する
    2. 3.2.②二次利用の範囲を明確に定める
  4. 4.まとめ


テレビCMにおける著作権の取り扱い

テレビCMは、著作権法において“映画の著作物”として取り扱われます。

事前に申請・登録をしなくても、テレビCMを創作した時点で著作者(著作物を創作した人)に対して著作権が自動的に与えられる仕組みとなります。

著作者の権利は、大きく2つで構成されています。


▼著作者の権利

権利
概要
権利の移転
著作者人格権
著作者の精神的な利益を守る権利
できない
財産権(著作権)
著作者の財産的な利益を守る権利
できる


著作者の許可なく著作物を複製して多数の人に発信または貸与したり、作品の一部に変更を加えたりすることは禁止されています。著作物を使用する際には、原則として著作者の許諾を得る必要があります。

出典:文化庁『著作権制度の概要』『令和5年版 著作権テキスト



テレビCMの著作権は誰に帰属するのか

テレビCMの著作権は、誰がCM素材を制作したかによって著作者人格権と財産権の帰属先が異なります。


▼テレビCMにおける著作権の帰属先

制作方法
著作者の権利に関する帰属先
著作者人格権
財産権
自社のみで制作した場合
自社
自社
制作会社に依頼した場合
制作会社
自社


CM素材を自社の従業員だけで制作した場合には、法人著作の扱いとなり、自社が著作者の権利(著作者人格権・財産権)について全部を有することになります。

外部の制作会社にCM素材の制作を依頼した場合には、特別な契約がない限り、制作会社から発注元となる自社へ財産権が自動的に移動する仕組みとなります。著作者人格権については権利の移転ができないため、実際にCM素材を創作した制作会社に帰属します。


▼映画の著作物に関する著作権の帰属

第二十九条 映画の著作物(第十五条第一項、次項又は第三項の規定の適用を受けるものを除く。)の著作権は、その著作者が映画製作者に対し当該映画の著作物の製作に参加することを約束しているときは、当該映画製作者に帰属する。

引用元:e-Gov法令検索『著作権法


ただし、制作会社との契約内容によっては、著作者の権利のうち財産権が制作会社となるケースもあります。著作権に関するトラブルを防ぐために、財産権の移転に関する契約内容を確認しておくことが重要です。

出典:文化庁『令和5年版 著作権テキスト



テレビCMの権利に関する注意点

テレビCMを制作する際には、著作権をはじめとする権利をめぐるトラブルを防ぐための対策が求められます。


➀出演者の肖像権について確認する

テレビCMにタレントを起用したり、自社の従業員に出演してもらったりする場合には、肖像権を侵害していないか確認しておくことが重要です。

肖像権とは、自己の氏名や肖像がみだりに他人へ公開されない権利を指します。なかでも芸能人やスポーツ選手などの著名人には一定の影響力があることから、その価値に基づく“パブリシティ権”が過去の判例によって確立されています。

また、自社の従業員や通行人などの一般の人についても、プライバシー権の一種として肖像権を持っています。本人の許可なくテレビCMに登場させると肖像権の侵害に当たる可能性があるため、注意が必要です。


▼肖像権の侵害を防ぐためのポイント

  • 一般の通行人がテレビCMに映らないようにする
  • 従業員の起用を控える
  • タレントを起用する際に使用期間を契約で定める
  • 音楽やキャラクター、ナレーターなどの権利を確認する など


タレントを起用する際には、一定の使用期間が契約で定められることが一般的です。使用期限を過ぎると再契約が必要となります。

出典:文化庁『令和5年版 著作権テキスト


②二次利用の範囲を明確に定める

外部の制作会社に依頼してCM素材を制作する場合には、自社が著作物の二次利用をどこまで行えるのかを確認しておく必要があります。

テレビCMの著作権が制作会社に帰属する契約となっている場合には、許可なく自社のWebサイトに掲載したり、新しいCMに流用したりすることができなくなります。

契約する際には、制作したテレビCMを公開できる媒体や使用方法、用途などについて明確に定めておくことが重要です。



まとめ

この記事では、テレビCMの著作権について以下の内容を解説しました。


  • テレビCMにおける著作権の取り扱い
  • テレビCMに対する著作権の帰属先
  • テレビCMの権利に関する注意点


テレビCMは、著作権法に基づき創作した人への著作権が付与される著作物に該当します。自社のみでCM素材を制作する場合には、著作権は自社に帰属します。

しかし、外部の制作会社にCM素材の制作を依頼する場合では、契約内容によっては制作会社に著作権の権利が帰属するケースもあります。また、肖像権やテレビCMの2次利用についてトラブルが起こる可能性も考えられます。

権利をめぐるトラブルを防ぐには、制作会社との契約を交わす際に著作権の帰属について取り決めを行うとともに、肖像権や2次利用の範囲についても確認しておくことが重要です。

また、テレビCMの制作・出稿をスムーズに進めるには、外部の広告運用会社にサポートを依頼することも一つの方法です。

SBSプロモーションでは、テレビCMを含むマスメディアの広告展開やインターネット広告と掛け合わせた施策をトータルサポートしています。テレビCMの出稿・運用について不安を抱える方は、ぜひご相談ください。

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