広告に期待できる効果とは? 効果測定の方法も併せて解説
※2024年11月13日更新
広告効果とは、広告を出稿して商品の認知度や売上にどの程度影響があったのか数値化・可視化することです。また、広告の目的がどの程度達成されたか測定することを“効果測定”といいます。
広告を活用して目的を達成するためには、効果測定の結果を踏まえて出稿方法を見直したり、新たな施策を講じたりして改善につなげることが重要です。
この記事では、広告効果の種類や効果測定の方法、効果測定を行うときの注意点、広告効果を最大化するための方法などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.広告効果の種類
- 2.広告運用における効果測定の方法
- 3.広告の効果測定を行うときの注意点
- 3.1.①出稿前後の条件を揃える
- 3.2.②外的要因を把握する
- 3.3.③市場の動向調査を行う
- 4.効果測定結果の分析に役立つ指標
- 4.1.ROAS(広告費用対効果)
- 4.2.ROI(投資対効果)
- 4.3.LTV(顧客生涯価値)
- 4.4.Total CPA
- 5.広告効果を最大化させる方法
- 5.1.➀テレビCM×動画配信プラットフォームの広告
- 5.2.②雑誌広告×Webコンテンツ
- 6.まとめ
広告効果の種類
広告の出稿によって期待できる効果には、主に単純接触効果・心理効果・売上効果の3つが挙げられます。
①単純接触効果
単純接触効果(ザイオンス効果)とは、何度も広告を見ているうちに好感を抱くようになり、興味関心が強くなるという心理的現象のことです。
広告による単純接触効果を狙うことで、商品・サービスの認知度向上が期待できます。例えば、新商品の発売時に接触効果が高い媒体で情報を発信すると、より多くの消費者に知ってもらい購入を促すことが可能です。
特にテレビCMや新聞広告、雑誌広告などは、不特定多数の多くの人に見てもらえることから接触効果が高い媒体といえます。
②心理効果
心理効果とは、消費者に商品の理解を深めてもらう効果のことです。商品の魅力を伝えて消費者に理解してもらうことで、購入の動機づけにつながります。
心理効果が発揮される広告の代表例として、インフルエンサーを起用したSNS広告が挙げられます。インフルエンサーに対する好感が商品への好印象にもつながるため、心理効果を得やすいといわれています。
③売上効果
売上効果とは、広告を見た消費者が実際に商品を購入する効果のことです。
商品の認知度と理解度を向上させることにより、最終的な売上効果に結びつきます。広告を出稿してから、資料請求や商品の購入にどの程度結びついたのか確認するためにも、売上効果を把握しておくことが重要です。
売上効果が高い広告として、リスティング広告が挙げられます。リスティング広告はターゲット層を絞り込めるため、購入の見込みが高い消費者に訴求できます。
広告運用における効果測定の方法
効果測定の方法は、運用する広告の媒体によって異なります。ここからは、マスメディア広告・デジタル広告・SP(セールスプロモーション)広告で効果測定を実施する方法を解説します。
マスメディア広告
マスメディア広告は、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といった不特定多数の人が視聴するマスメディアを介して発信する広告のことです。
映像や音声で情報を発信するテレビCM・ラジオCMと、紙媒体のテキストで情報を発信する新聞・雑誌広告では、効果測定に用いる指標が異なります。
テレビCMの場合
テレビCMでは、PRP(個人視聴率)という指標を用いて効果測定を行います。
PRPとは、世帯における4歳以上の個人が特定の時間帯に番組を視聴している割合を示す指標です。性別・年齢ごとにいくつかのグループに区分して、それぞれの視聴率を算出します。
▼PRPの計算式
PRP(%)=テレビを視聴した人数÷調査対象となる世帯の総人数
例えば、調査対象とする世帯の総人数が100人となり、15人がテレビを視聴している場合のPRPは[(15人÷100人)×100=15%]となります。また、テレビを視聴した人数は、PM(ピープルメーター)というシステムを利用して調査を行います。
PRPを用いたテレビCMの効果測定方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ラジオCMの場合
ラジオCMの効果測定には、ラジオ個人聴取率を使用します。
個人聴取率は、どれくらいの割合の人がラジオを聴いていたのかを表す指標です。個人に対して「どの時間帯にどの番組を聞いたか」というアンケート調査を行い、算出します。
新聞・雑誌広告の場合
新聞・雑誌広告の効果測定には、CPR(レスポンス1件当たりの広告費)とCPO(顧客獲得1件当たりの広告費)を使用します。
▼CPRとCPOの計算式
指標 |
計算式 |
CPR |
CPR(円)= 広告費 ÷ レスポンスの件数 |
CPO |
CPO(円)= 広告費 ÷ 受注件数 |
例えば、10万円の広告費をかけて新聞・雑誌広告を出稿して、反響が100件、受注が5件あった場合は以下のように算出できます。
▼CPRとCPOの算出例
算出対象 |
計算例 |
CPR |
10万円 ÷ 100件 = 1,000円 |
CPO |
10万円 ÷ 5件 = 20,000円 |
CPRとCPOの数値が低くなるほど、広告の費用対効果が高いと考えられます。目標よりも数値が高い場合には、出稿媒体や予算配分などを見直す必要があります。
デジタル広告
デジタル広告とは、Web上で配信する広告のことです。代表的な媒体には、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告などがあります。
効果測定に用いられる主な指標には、以下が挙げられます。
▼デジタル広告の効果測定指標
指標 |
概要 |
計算式 |
CTR |
広告がクリックされた割合 |
クリック数÷表示回数 × 100 |
imp |
広告が表示された回数 |
PV数 × 該当ページに表示される |
CVR |
購入や問い合わせなどの最終成果 |
コンバージョン数 ÷ アクセス数 × 100 |
CPA |
最終成果(コンバージョン)1件当たりに |
広告費 ÷ コンバージョン数 |
CTRの数値が高くなると、検索エンジンにおいて高品質な広告と判断されます。また、ユーザーが広告に興味を持っていると判断できるため、売上につながる確率も高まると考えられます。CVRについては商材や出稿条件にもよりますが、2〜3%が平均値といわれています。
SP広告
SP広告は、商材の販売促進を目的とした広告のことです。なかでも効果測定がしやすい広告媒体に、折り込みチラシ・DM(ダイレクトメール)・フリーペーパーが挙げられます。
これらの広告媒体は、配布数に対してどれくらいの反響を得られたかを示す“反響率”を基に効果測定を行えます。
▼反響率の計算式
反響率(%)= 反響数 ÷ 配布数 × 100
例えば、折り込みチラシを1,000枚配布して25人から問い合わせの連絡があった場合の反響率は、[25人÷1,000枚×100=2.5%]となります。一般的な折り込みチラシの反響率は、0.01~0.3%程度とされています。
広告の効果測定を行うときの注意点
広告の効果測定を行う際には、同じ条件下で出稿前後の数値を比較するとともに、外的要因や市場の動向を考慮することが重要です。
①出稿前後の条件を揃える
広告の出稿によってどのような反応・成果を得られたのか把握する際には、出稿前後で各指標の数値を比較する必要があります。その際は、効果測定の条件を出稿前後で揃えることが重要です。
▼効果測定の際に統一する条件
- 計測期間
- 計測方法
- 対象とするユーザーの属性
- コンバージョンの種別 など
効果測定の条件を揃えることで、広告効果を正確に検証できるようになります。また、施策に対して各指標の数値がどのように変化したか可視化することが可能になり、改善点を明らかにできます。
②外的要因を把握する
広告の効果測定を行う際には、外的要因を把握しておくことが欠かせません。
企業が行った広告施策だけでなく、自社を取り巻く環境の変化によって広告効果が変動することがあります。広告効果に影響を与える外的要因を把握して、測定結果の分析時に考慮することが重要です。
▼広告効果に影響を与えやすい外的要因の例
- 季節による商材の需要変動
- 年間行事・イベントの有無
- 競合他社による類似商品の販売 など
③市場の動向調査を行う
広告による成果を正しく検証・評価するために、市場の動向調査を行うことが必要です。競合他社の広告戦略やトレンドなどの動向を把握することにより、自社における広告施策の効果や位置づけなどを客観的に評価できるようになります。
▼市場の動向調査を行う方法
- 業界団体や民間調査会社などが公表する調査資料を基に、商材の市場規模やトレンドを確認する
- ツールを活用して競合他社の広告出稿状況を把握する など
効果測定結果の分析に役立つ指標
広告の効果測定を実施したあとは、結果を分析して「目標を達成できたか」「どの程度の利益を得られたか」などを確認して改善策につなげることがポイントです。
効果測定結果の分析に用いられる代表的な指標には、以下が挙げられます。
ROAS(広告費用対効果)
ROAS(広告費用対効果)は、広告費に対して得られた売上の割合を把握する指標です。長期的に見て「投入した広告費をどれくらい回収できているか」を測りたいときに使用します。
▼ROASの計算式
ROAS(%)= 広告経由の売上高 ÷ 広告費 × 100
例えば、50万円の広告費をかけて広告経由の売上高が60万円となった場合のROASは、[60万円÷50万円×100=120%]となります。ROASが100%以上になると、広告経由の売上高が広告費を上回っていると判断できます。
ROI(投資対効果)
ROI(投資対効果)は、「投入した広告費に対してどれくらいの利益を生み出せたのか」を把握する指標です。得られた成果を売上高として考えるROASに対して、ROIでは短期的な利益額として見る点に違いがあります。
▼ROIの計算式
ROI(%)= 利益額 ÷ 広告費 × 100
例えば、1万円の商品を1つ売るために5,000円の広告費を投入した場合、[1万円÷5,000円×100=200%]となり、投資に対して200%の利益を生み出したことになります。定期的にROIを算出することで、広告施策の効果や採算性を把握できます。
LTV(顧客生涯価値)
LTV(顧客生涯価値)は、一人の顧客が企業にもたらす総利益のことです。
LTVを算出することで、広告経由で得られた売上や利益に対して「投入した広告費が適切か」「リピート率や客単価が高い広告施策は何か」を分析できます。
▼LTVの計算式
LTV(円)= 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間
CVRやCPAが同じ数値であっても、LTVが高いほうが利益につながる効果的な広告施策と判断することが可能です。
Total CPA
Total CPAは、最終成果となるコンバージョンに至るまでに接触した複数の広告効果を評価する指標です。従来のCPAでは、消費者が実際に問い合わせや商品購入などの行動を起こした広告に対する成果しか評価できませんでした。
これに対してTotal CPAでは、コンバージョンに関与したすべての広告でコンバージョン数を分配するため、各媒体の成果を正確に評価することが可能です。
▼Total CPAの計算式
Total CPA(円)= 広告費 ÷ 再配分コンバージョン件数
例えば、SNS広告・記事広告・動画広告といった3つの広告媒体に接触したあと、4つ目のリスティング広告で商品購入に至った場合には、1件のコンバージョン数を0.25件として4つに再分配します。
コンバージョンに貢献する広告媒体を見極めることで、成果の見込みが高い広告媒体に対して予算を投入できます。
広告効果を最大化させる方法
広告効果を最大限に引き上げるには、複数のメディア・コンテンツを組み合わせて運用することがポイントです。
➀テレビCM×動画配信プラットフォームの広告
テレビCMの素材を動画配信プラットフォーム内の動画広告に流用することで、広告制作費を抑えつつ幅広い視聴者層へ広告を届けられます。
テレビCMは大衆の目に触れる一方、テレビを観ない若年層へのリーチや細かいターゲティングができない点に弱みがあります。その点、Web上の動画広告であれば若年層の視聴者が多いうえに、ターゲットを限定した配信が可能です。
さらに、動画配信プラットフォームを用いた広告は配信結果を数値で確認できるため、効果測定も容易に行うことができます。
②雑誌広告×Webコンテンツ
雑誌広告は、ニーズが顕在化した消費者層へのリーチやブランディングに有効です。Webコンテンツと併せて運用することで、ニーズが明確なユーザーへ訴求することが可能です。
▼相乗効果につながる運用方法の例
- 雑誌の誌面に「〇〇で検索」といったキーワードや二次元コードを記載して、Webコンテンツに誘導する
- 雑誌にはデザイン性を重視したビジュアルを掲載して、Webコンテンツに商品の詳細情報を記載する など
なお、SBSプロモーションでは、メディアやコンテンツを組み合わせて広告効果を最大化するサービス『×カケレル』を提供しています。広告施策を一貫してサポートしているため、何から始めたらよいのかお悩みの方におすすめです。
まとめ
この記事では、広告効果について以下の内容を解説しました。
- 広告効果の種類
- 効果測定の方法
- 効果測定を行うときの注意点
- 効果測定結果の分析に役立つ指標
- 広告効果を最大化させる方法
広告を運用する際は、得られた成果や改善点などを把握するために効果測定を行うことが欠かせません。効果測定を実施する際は、出稿前後で測定条件を揃えるとともに、外的要因や市場の動向を考慮することが重要です。
また、広告効果の最大化を図るには、複数の異なるメディア・コンテンツを掛け合わせて運用することもポイントです。
SBSプロモーションでは、複数の広告媒体を掛け合わせるソリューションサービス『×カケレル』を提供しています。目的・課題に合わせて活用できる広告施策のパッケージを用意しており、一貫したサポートが可能です。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。