スポットCMとは? 放映費を決める要素と出稿の方法
2024年7月31日更新
テレビCMには出稿形態の異なる複数の種類があります。しかし、これらの種類名称は一般的な会話ではあまり使わない用語のため、一見して違いが分かりづらい場合もあります。
なかでもスポットCMは、テレビCMにおける代表的な種類の一つです。企業のマーケティング部門や広報部門の担当者のなかには、「スポットCMとほかのCMはどう違うのか」「スポットCMの放映費はどうなっているのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、テレビCMの種類やスポットCMの放映費を決める要素、スポットCMの出稿方法について解説します。
目次[非表示]
- 1.テレビCMの種類
- 1.1.スポットCM
- 1.2.タイムCM
- 1.3.そのほかのCMや買い付け方法
- 2.スポットCMとタイムCMの比較
- 3.スポットCMの放映費を決める要素
- 4.スポットCMを出稿する方法
- 4.1.目標とする視聴率を定める
- 4.2.目的に応じた購入パターンを選ぶ
- 5.まとめ
テレビCMの種類
テレビCMは主にスポットCMやタイムCMに分けられます。また、通常のCMとは異なるCMや、買い付け方法が異なるものも存在します。
スポットCM
スポットCMとは、番組を指定せずテレビ局が定める時間帯を選んで契約し、挿入するCMのことです。
セールスの最小単位は15秒で、CMを放映する期間は自由に設定できます。一般的に、15秒・30秒・60秒のいずれかで放映されることが多いといえます。
また、スポットCMは放映するタイミングによってSBとPTの2種類に分けられます。
▼放映タイミングによるスポットCMの分類
種類 |
概要 |
SB(ステーションブレイク) |
一つの番組が終わり、次の番組が始まるまでの間に放映されるCM |
PT(パーティシペーション) |
番組が始まってから、番組が終わるまでの間に挿入されるCM枠に放映されるCM |
タイムCM
タイムCMとは、広告主が番組に提供を行い、その番組内に挿入されるCM枠で放送する広告です。セールスの最小単位は30秒で、放映する期間は2クール(6ヶ月)が基本とされています。
テレビ番組において「この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りいたしました」というアナウンスがあった場合、このとき表示されている企業がタイムCMの広告主です。
単発の特別番組に出稿することもあれば、「レギュラー」と呼ばれる1年間・半年・1クール単位で契約し、毎週決まった曜日の番組に固定して放映する場合もあります。
また、放送エリアによって、全国放送のネットタイムとローカル放送のローカルタイムに区分されます。
そのほかのCMや買い付け方法
テレビCMには、通常のCMとは違う『天気フィラー』や、買い付け手法が異なる『SAS』といったものが存在します。
天気フィラーは、天気予報のとき画面の背景に企業のインフォメーションなどの映像を流すものです。
地方の朝のニュース番組や、夕方のニュース番組などの天気予報でよく使われるCM形式です。
また、SAS(スマート・アド・セールス)は、従来のタイムCMやスポットCMに続く第3の選択肢と呼ばれるテレビCMの買い付け方法です。SASでは、15秒CMを1本単位で購入できます。
そのため、放映日時・番組・本数・金額を自社のキャンペーンタイミングなどにぴったり合わせて、欲しい本数だけ欲しいときに枠を購入できることが大きなメリットです。
スポットCMとタイムCMの比較
従来より存在するCMとして、スポットCMとタイムCMを比較すると以下の点で違いがあります。
▼スポットCMとタイムCMの比較
比較項目 |
スポットCM |
タイムCM |
CMの長さ |
15秒から |
30秒から |
放映期間 |
1週間から |
2クール(半年間) |
放映エリア |
各放送局のエリア |
各放送局のエリアもしくは全国エリア |
提供表示 |
なし |
あり |
主なメリット |
幅広い層への迅速なリーチ |
長期間の放送によるブランディング |
スポットCMは、放映する番組を指定しないことで幅広い層に短期間でアプローチが可能です。一方、タイムCMは特定の番組で長期間にわたって放映されるため、番組のイメージと結びついてブランディングにつながります。
スポットCMの放映費を決める要素
スポットCMの放映費は、タイムランクやパーコスト、掛け率などによって決定します。
タイムランク
テレビのCM枠には、「タイムランク」というものがあり、ランクによって広告料が異なります。
ランクの分け方は各テレビ局によって異なりますが、概ね以下の4つの区分に分けられています。
▼タイムランクにおける区分の例
区分 |
概要 |
Aタイム |
最も広告料が高価な時間帯。俗に言うゴールデンタイムもここに含まれる |
SBタイム |
次点に広告料が高価な時間帯。略してSと称されることもある |
Bタイム |
視聴者数が少ない傾向にあり、広告料が比較的安価な時間帯 |
Cタイム |
最も広告料が安価な時間帯 |
一般的に、多くの人が学校や会社に出かけていて視聴率が下がる傾向にある平日昼間の時間帯はBタイムやCタイムに設定されています。一方、会社や学校から帰ってきてテレビを見る夜の時間帯はAタイムや特Bタイムとして指定されます。
パーコスト
パーコストとは、視聴率を1%獲得するための費用を表したものです。CM放映費を決める際のコスト指標として用いられることから、視聴率1%当たりの販売価格とも言い換えられます。
パーコストはCMの放映時間帯や放送局のエリアによって変動します。一般的に、より多くの人がCMを見る可能性が見込まれる場合ほど視聴率1%の価値が上がり、パーコストに影響します。
掛け率
掛け率とは、タイムランクによって決められた料金に対する実施料金の割合を表します。掛け率は実施料金を定価で割った値となり、例えば以下のように計算できます。
▼Aタイム(25万円/本)に6本、Bタイム(10万円/本)に10本のCMを100万円で放映した場合
- 定価の総合計:25万(円)×6+10万(円)×10=250万(円)
- 掛け率:100万(円)÷250万(円)×100=40(%)
掛け率が低ければ低いほど、割引率の高いCMだといえます。ただし、掛け率は場合によってさまざまで、設定に関連する要素は時期や混み具合、広告主との関係性、予算など多岐にわたります。
スポットCMを出稿する方法
スポットCMを出稿する際は、目標とする視聴率を定めたうえで予算を照らし合わせて 、購入パターンを決めます。
目標とする視聴率を定める
スポットCMの出稿に当たっては、目標とする視聴率を定めたうえで予算と照らし合わせて、出稿本数や放映時間帯を決める必要があります。
また、視聴率の指標として現在では主にPRPが用いられます。PRPとは、調査対象世帯において特定の時間帯に誰がどの程度視聴していたのかを示す割合です。
なお、PRPを用いた効果測定についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
目的に応じた購入パターンを選ぶ
スポットCMの放映時間帯については、いくつかの購入パターンがあります。自社の目的に合った購入パターンで出稿することが重要です。
▼スポットCMにおける購入パターンの例
パターン |
出稿時間帯 |
特徴 |
全日 |
平日と土日の全時間帯 |
幅広い層に訴求できる |
逆L |
平日の夜と土日の全時間帯 |
学生やビジネスパーソンの在宅時間帯を狙って訴求できる |
コの字 |
平日の朝夜と土日の全時間帯 |
平日の朝に流すことで通学・出社前のタイミングで訴求できる |
ヨの字 |
平日の朝昼夜と土日の全時間帯 |
平日の昼に流すことで在宅の主婦(主夫)や高齢者に訴求しやすい |
まとめ
この記事では、スポットCMについて以下の内容を解説しました。
- テレビCMの種類
- スポットCMとタイムCMの比較
- スポットCMの放映費を決める要素
- スポットCMを出稿する方法
テレビCMにはスポットCMをはじめとするさまざまな種類があり、CMの長さや放映期間、放映エリアなどが異なります。
スポットCMはタイムランクや掛け率、パーコストによって放映費が左右されます。出稿の際は、目標とする視聴率を定めたうえで予算と照らし合わせて、出稿本数や放映時間帯を決める必要があります。
また、自社の目的に合った購入パターンを選ぶことも重要です。
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